11月30日に秋田市のスーパーで男性従業員を襲い、そのままとどまっていた雌のクマ1頭が12月2日未明、店内に設置された箱わなで捕獲され搬出された。発生から3日目、ようやく駆除されたとの知らせに、現場周辺の住民からは安堵(あんど)の声が聞かれた。
体長約1メートル、体重70キロのクマが…
12月2日午後1時20分ごろ、ようやく駆除されたクマが店の外へと運び出された。
この記事の画像(15枚)軽トラックの荷台に乗せられた箱わなはブルーシートで覆われ、中の様子を確認することはできなかった。
11月30日早朝、秋田市土崎港西のスーパー「いとく土崎みなと店」に侵入したクマが男性従業員を襲い、そのまま店内にとどまった。警察や県などがさまざまな手を尽くし、発生から3日目の12月2日午後、ようやくクマは店から運び出された。クマは雌の成獣で、体長は約1メートル、体重は70キロだった。
現場近くの居酒屋の店長は「結構不安で、週末ということもあり店がどうなるかなと思った。安心した。お客さんも安心して帰れると思う」と語った。
週末、多くの買い物客でにぎわうはずだったスーパー。クマが従業員を襲う驚きの事態に巻き込まれたが、周囲ではその予兆が感じられる出来事があった。
周辺で相次いでいた目撃情報…事故も
暗闇を駆ける黒い影、正体はクマだ。
従業員が襲われる前日の11月29日の夜、スーパーから約200メートルの距離にある土崎みなと歴史伝承館の防犯カメラが捉えていた。
この夜、周辺では相次いでクマが目撃されていたほか、クマと普通乗用車が衝突する事故も起きていた。
現場近くに店を構えるコニシタイヤの小西和也社長は「遠目だったが、クマがいるのは確認できた。土崎みなと歴史伝承館の駐車場にいた。最高に怖かった。外に出ないで避難するようにと言われた」と、クマを目撃した日を振り返る。
目撃から一夜明けて発生した悲劇。
男性従業員がクマに襲われたのは、店舗東側の総菜コーナーの周辺だった。
当時は商品搬入のため、正面の出入り口2カ所と店舗裏の搬入口の計3カ所が開放されていたといい、警察は、裏から侵入した可能性が高いとみている。
「車庫や倉庫の扉は閉めて…」注意呼びかけ
12月1日、警察がドローンを飛ばして調べたところ、売り場にクマの姿はなく、その後バックヤードで動き回る様子を確認し、封鎖した。
1日午後7時50分ごろに蜂蜜やリンゴなどを入れた箱わなを出入り口周辺に設置。2日午前4時ごろ、捕獲に至った。
一方、捕獲の一報を前に2日朝、近くの小学校では児童が保護者とともに車で登校し、クマよけの鈴を鳴らしながら足早に昇降口に向かっていた。
見守りボランティアの男性は「驚きだね。学校があるかが心配だった」と話した。
土崎小学校の長谷川久寿校長は「まさかここで出るとは思っていなかったし、情報も入ってこなかった。クマだけでなく、色々なところに危険が潜んでいるので、普段から安全指導をしっかりしていきたい」と語った。
秋田県内では、11月下旬から市街地でのクマの目撃が相次いでいる。県は「クマは、薄く雪が積もった程度では冬眠しない」として、車庫や倉庫の扉を閉めておくなど、被害防止への注意を続けてほしいとしている。
(秋田テレビ)