「タガが外れる」という慣用句を動画で再現した投稿が話題となっている。

それがこちら。

タガが外れるとこうなります

「タガ」とは、竹や金属でできた輪っかのことで、桶や樽などを外側から固定するためのもの。Twitterに投稿された動画は、円柱の桶の上部を支えている「タガ」を金槌で叩いている様子。そして、「タガ」が取り外されると一気に桶が崩れ落ちた。

「緊張や束縛がとれ、しまりのない状態になること。感情が抑えられなくなること」という意味の慣用句である「タガが外れる」を分かりやすく、見事に表現している。

「タガ」を金槌で叩く
「タガ」を金槌で叩く
この記事の画像(8枚)
「タガ」を外すと…
「タガ」を外すと…
一気に崩れ落ちる
一気に崩れ落ちる

投稿したのは、1865年創業の三浦太鼓店の六代目である「三浦太鼓店の六代目彌市」(@rokudaimeyaichi)さん。

Twitterでは「タガが外れるの“タガ”ってこの事だったんですね」「こんなに呆気なくバラバラーってなるのをしっかり留めておくタガと職人の技術力がすげぇ」などの声あり、約1万4千件のリツイート、約3万2千件のいいねがついている。動画は74万回再生され、話題となっている。(8月31日現在)

なぜこのような動画を撮ろうと思ったのか?投稿者の三浦太鼓店の六代目彌市さんにお話を伺った。

「素晴らしい伝統を少しでも多くの人に伝えたい」

ーーなぜこの動画を撮ろうと思った?

知ってもらえていなければ=存在していないのと同じ。この素晴らしい伝統を少しでも多くの人に伝え守っていく事が私の使命だと思いました。この10年で1500記事以上のブログも書き、近年では様々なSNSを駆使して発信してまいりました。


ーー動画は、太鼓ではなく桶?

太鼓の種類の中の「桶太鼓」正式には桶胴太鼓という楽器です。胴体がまさしく桶でできているので桶胴太鼓と言います。

日本には昔からこの太鼓は存在していて有名なところでいえば、青森のねぶた祭で使われる大きな太鼓はみな桶胴太鼓です。大きいモノから小さいモノまでサイズは様々で、近年では楽器としての価値が高まっており、当店ではオリジナリティあふれる桶胴太鼓を製作しています。

桶胴太鼓
桶胴太鼓

ーー動画のものは商品?

勇武-ISAMU-という商品名で販売している大桶太鼓です。

勇武-ISAMU- 
勇武-ISAMU- 

「タガをしっかり締めるといい音に仕上がります」

ーーやはり「タガ」は大事?

「タガ」はとても重要です。「タガ」がなければ、形そのものを保つことさえできないです。逆に「タガ」がしっかりと締まっていることで形だけでなく、「音」もとてもいい音に仕上がります。


ーー「タガ」を外すのは大変?

外す作業そのものは実は大変ではありません。むしろ「タガ」を締める作業の方がとても大変です。


ーー動画の撮影時間はどれくらい?

アップロードしたモノそのままの撮影時間ですので1分程度です。

「タガ」を作っている様子
「タガ」を作っている様子

「反響があり過ぎて驚いています」

ーー「どんな『タガ』でも締め直しさせていただきます」とHPにあるがどんな仕事をしている?

巨大な桶の「タガ」締め直しや、神社に眠っていた壊れた桶の修理。古い桶を使って太鼓のリメイクなどを行ってきました。


ーー反響はあった?

反響があり過ぎて驚いています。毎日のようにメディア関係から連絡あります。


ーー新たな構想はある?

たまたま「タガ」がヒットしましたが、先にも伝えた通り私は広く日本のすばらしい『伝統』を伝えていく事をこれまでもこれからも、やっていきたいと思っています。

巨大な桶の「タガ」締め直し
巨大な桶の「タガ」締め直し

慣用句を一目瞭然で表現した動画で話題となったが、投稿した理由は太鼓職人の素晴らしい伝統を少しでも多くの人に伝え守っていきたいとの思いからだった。
我々が知らない日本の伝統的な技術を知るきっかけになるので、こういったSNSなど現代のツールをどんどん活用してほしい。
 

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

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