戦災を免れた石川県金沢市には、今なお古い建物が数多く残り、歴史を感じられる町並みは観光客からも高く評価されている。この町を大正モダンな衣装で散策し、懐かしい雰囲気の喫茶店や町家を改装した店で買い物を楽しむ“金沢レトロ観光”に出かけてみた。

古き良き金沢市内の町並みを楽しむ“金沢レトロ観光”
古き良き金沢市内の町並みを楽しむ“金沢レトロ観光”
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レトロな旅のはじまりは“映える”衣装選びから

まず訪れたのは金沢駅から徒歩約10分の場所にある貸衣装店「金沢・月見にキテネ」。店の内装は木製の陳列棚や布張りソファなどクラシックな雰囲気で統一されている。ここでは明治・大正時代をコンセプトにした服や小物などをレンタルすることができる。ブラウスやスカート、ワンピースなど80着以上の在庫から自分の好みで組み合わせて選べるのが魅力だ。「金沢・月見にキテネ」の山口秀美さんは「襟がレースになっているものやスカートの裾がフレアになっているデザインが特徴。中でも当時の女優さんが身に着けていた帽子をイメージした『女優帽』が人気です」と教えてくれた。

2024年3月にオープンした「金沢・月見にキテネ」
2024年3月にオープンした「金沢・月見にキテネ」

数ある衣装の中から尾﨑侑美アナウンサーが選んだのは、カーキ地に白い襟が付いたワンピース。帽子やバッグなどの小物も組み合わせてコーディネートした。
店には撮影ブースも併設されていて、衣装を借りれば無料で写真撮影を楽しむこともできる。(※3階の撮影ブースは別途料金が必要)

尾﨑侑美アナウンサーが考えたレトロコーディネート
尾﨑侑美アナウンサーが考えたレトロコーディネート

町歩きを楽しみ“大正ロマン”がコンセプトの喫茶店へ

レトロな雰囲気の衣装を身にまとい、早速金沢の街に繰り出した。見慣れた町並みも普段とは違う服装で歩くと非日常感を味わうことができる。

コーディネートした衣装を着て浅野川大橋を歩く
コーディネートした衣装を着て浅野川大橋を歩く

金沢市内で人気の観光地、ひがし茶屋街の路地を入って訪れたのは金沢市東山にある「大正浪漫喫茶 金魚庵」。店に入ると女将の土屋美幸さんがかっぽう着姿で迎えてくれた。店内は蓄音機からBGMが流れ、大正時代の生活雑貨や雑誌などが置かれていて、当時にタイムスリップしたような気分を味わうことができる。着物にエプロン姿のウェイトレスが運んできてくれたのは大正時代のレシピを再現したという「ハットケーキ」だ。

大正時代の女給さんをイメージしたウェイトレス
大正時代の女給さんをイメージしたウェイトレス

生地に砂糖を使っていないため、焦げ色がついておらず、見た目は真っ白。「ホットケーキ」のように見えるが、なぜ「ハットケーキ」というのか。女将の土屋さんいわく「当時は『ホット』がなまって『ハット』と呼ぶのが一般的だった」そうだ。日本では1884年(明治17年)に「パンケーキ」が雑誌で紹介され、1923年(大正12年)に東京の百貨店で「ハットケーキ」として提供されたのが始まりと言われている。早速食べてみると、生地に甘みが無いので、バターとはちみつの風味が際立つ。もっちりと弾力のある生地は食べ応えがあり、小麦の味わいを感じられる。このほかにもプリンやクリームソーダなど大正時代をイメージしたメニューが揃っている。

大正時代のレシピを再現した「ハットケーキ」
大正時代のレシピを再現した「ハットケーキ」

レトロな店構えの老舗が大通り沿いに並ぶ商店街へ

続いては老舗和菓子店や金沢蓄音機館など歴史ある建物が軒を連ねる尾張町商店街へ。町家をリノベーションした複合ショップ「八百萬本舗」を訪ねた。ここには石川県を中心に北陸で活動する作家が手がけた雑貨や食品など8つの店舗が入っている。

町家をリノベーションした趣ある店舗
町家をリノベーションした趣ある店舗

八百萬本舗 今村有香さん:
「人気はポップなイラストが魅力の九谷焼。ヘアゴムやアクセサリーなどもあり、お土産としても喜ばれています」

ポップな絵柄の九谷焼
ポップな絵柄の九谷焼

また、能登の商品を集めた店では昔ながらの製法で作られた米あめや塩などが販売されている。中でも外国人観光客に人気が高いのは七尾市で作られている和ろうそく。手書きの絵ろうそくやお香を買い求める人が多いという。

手書きの絵が描かれたろうそくは外国人観光客にも人気
手書きの絵が描かれたろうそくは外国人観光客にも人気

今や定番となった観光地でのレンタル着物。その進化系としてレトロな洋装での散策も金沢観光の新たな目玉となるかもしれない。非日常を気軽に体験できる「レトロ観光」を楽しんでみては。

(石川テレビ)

石川テレビ
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