確かな基礎と高みを目指す向上心で全国の頂点に立った小学生は、新体操で「見る人を笑顔に」する演技を目指し、さらなる挑戦を続けている。
度胸と実力で優勝飾る
愛媛・松山市の河野小学校5年、正岡万穂選手は、新体操の魅力を「手具を使ってリスク(投げ上げ+回転)や転がしで表現できるところ」と話す。

6歳の頃、活発に動く娘を見た母親が、近くの新体操のクラブに体験に連れていったのがきっかけで競技を始めた。柔軟性やジャンプに必要な筋力などの身体能力の高さが光り、始めて3カ月ほどで選手コースに移ってから、技術はもちろん、美しさや曲に合わせた表現力などを磨いている。

指導する「Estella RG」の徳増菜苗コーチは、「パワフルな踊りで資質も高い。つま先まできれいに踊る努力をし、手具を遠くで扱うように誰よりも意識して踊っています」と話す。

正岡選手は2024年3月に予選を勝ち上がり、全日本新体操チャイルド選手権に出場した。大きな舞台だったが、「マットに立つと緊張しない」という度胸で力を出し切り、見事小学3・4年の部で優勝した。

正岡選手は「予選ではターンが少し回れなかったけど、クラブを使った決勝ではノーミスで演技ができて、とてもよかったです」と振り返る。

この大会には、正岡選手以外にも小3・4年の部準優勝の柱莉結さん、小5・6年の部4位の小山杏さん、小5・6年の部8位の高橋杏珠さん、小1・2年生のキッズコンテストで徳増美由莉さんがエンターテイメント賞を受賞するなど、クラブから出場した選手たちが好成績を収めた。
“ノーミス”演技目指して日々練習
新体操の日本代表「フェアリージャパン」のメンバーである西本愛実選手もEstella RGの出身だ。全国からも注目される育成の秘訣は、高みを目指す「向上心」と徹底した「基礎」にある。

練習の始まりには、柔軟性を高めながら一つ一つの体の動きの「正確性」や「美しさ」を丁寧に磨いている。

演技の指導では、「足が長く見えるポイントに気を付けて」「曲があるから、そこはお顔をもうちょっと華やかにしてみて」と、コーチたちから細やかなアドバイスが入る。
正岡選手も「一つ一つ丁寧に、ノーミスの演技を目指しています」と話し、日々の練習に一切妥協はない。
正岡選手が追及する演技
今は新たに構成に加えた、投げ上げたフープを足でキャッチする技を練習している。

「ひざとフープがなるべく近い方がいいよ」「自分のジャストのところに投げないと」「難しいことやっているけど、あなたにできるからやっているのよ」との指摘を受け、何度も何度も繰り返し練習している。

徳増菜苗コーチは、正岡選手について「課題がクリアできなかったら必ず自主練習してできるようにしてきたりとか、一分一秒無駄にせず、小学生ながら新体操にしっかり向き合っている姿勢が見受けられます」と語る。

一つの演技は一つの作品芸術スポーツといわれる新体操に真摯(しんし)に向き合い、コツコツと努力を続けたからこそたどりついた全国の頂点。それでも慢心することなく、自分が求める「みんなを笑顔にする演技」を追求する。
正岡選手は、コーチのようにいつかは新体操を教える先生になりたいと将来の夢を語ってくれた。マットから「笑顔」のパワーを届けようとさらなる挑戦を続ける。
(テレビ愛媛)