日本中を震撼させている「闇バイト」による連続強盗事件。記者がSNSを通してアプローチすると勧誘役からは信じられない言葉が飛び出してきた。

高額バイトやホワイト案件募集が氾濫

首都圏などで相次ぐ強盗事件。いま、容疑者たちが犯罪に手を染めたきっかけとされているのが、いわゆる闇バイトだ。勧誘の入口となるSNSでは一体、何が起きているのか。『X(旧ツイッター)』上などに氾濫している「高額バイト」や「ホワイト案件」の募集。検索すると、次々に怪しい仕事の募集案内が出て来る。応募したその先に何が待っているのか。

SNS上にあふれる”闇バイト”の募集
SNS上にあふれる”闇バイト”の募集
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取材班は、Xで『ももち』というアカウントを作成し、怪しい求人案内に「いい案件ありませんか?」とメッセージを送ってみた。

記者が”闇バイト”募集先に連絡してみると…
記者が”闇バイト”募集先に連絡してみると…

メッセージを送り続けること2時間余り。「かなり稼げる仕事の枠が急遽1つ空きまして、連絡させていただきました」。記者がフォローしていない人物から突然、メッセージが届いた。早速このアカウントに返信すると間髪を入れずに反応があった。

”闇バイト”募集先から連絡が…
”闇バイト”募集先から連絡が…

“勧誘役”から届いたメッセージ

「『シグナル』はダウンロードされていますか?」。シグナルは秘匿性の高い通信アプリ。通話のほか、短時間で履歴が消えるメッセージ機能がある。首都圏で相次ぐ強盗事件でも指示役からの連絡手段として使われていたとみられている通信アプリだ。指示に従い、シグナルをダウンロードしてやりとりを続けていると電話がかかってきた。

 

▼”闇バイト”勧誘者「もしもし」

▼記者(アカウント名・ももち)「もしもし、聞こえてますか」

▼“闇バイト”勧誘者「早速なんですけど何個か質問がありまして、いま、お住まいはどちら」

▼記者「福岡なんですけど」

▼“闇バイト”勧誘者「ご年齢は」

▼記者「いま29歳です」

▼“闇バイト”勧誘者「仕事は何されます」

▼記者「普段、会社員です」

▼“闇バイト”勧誘者「どういった関係の仕事ですかね」

▼記者「情報通信関係ですかね」

闇バイト勧誘者「出張可能ですか」

いきなり始まった“闇”の採用面接。ほかにも免許証の有無、車を持っているか、平日に時間を作れるか、手持ちの金額など、質問が矢継ぎ早に飛んでくる。

▼“闇バイト”勧誘者「出張可能ですか」

▼記者「はい。できます」

▼“闇バイト”勧誘者「おっ!仕事の曜日が月曜から金曜になるんですけど、東京とか神奈川とかに来ることは?」

▼記者「事前に合わせれば、行くことはもちろん可能です」

▼“闇バイト”勧誘者「分かりました。内容がUDっていうものになるんですよ。(高齢者宅などから)カードを受け取ってもらって近くのコンビニで下ろしてもらって、それをまた次の人間に渡してもらうんですけど」

電話口から察するに、どうやらこの案件は特殊詐欺の受け子・出し子。報酬は1回あたり5万円から10万円だという。明らかな犯罪行為。逮捕される可能性を尋ねると…。

「痛い目に遭っちゃいますよ」

▼“闇バイト”勧誘者「自分たちはその辺、かなり気を使っていて、見張りの人間がいるんですよ。警察関係の車両が近くに停まってないか、身内の人間が帰って来ていないかとか、それを確認した上で、『ももち(記者)』さんに行ってもらう」

▼記者「私自身が受け取ったモノを持って、いなくなったらどうなる?」

▼“闇バイト”勧誘者「必ず捕まえに行く。それなりに痛い目に遭っちゃいますよ」       

▼“闇バイト”勧誘者「身分証も先に出してもらうんで。『ももち』さんの免許証をもらうとするじゃないですか、もちろん逃げたらその家にも行きますし、家の周りも捕まえるまで必ず見張るので。最悪、親の所にも行きますし。覚悟は必要ですけど、変なことしなければ、僕たちが『ももち』さん側に何かをするっていうわけではないですし」

恐ろしい言葉を投げかけてくる“闇”の採用担当者。逮捕者が相次ぐ強盗の求人もあるのか。

▼“闇バイト”勧誘者「(強盗?)そういうのでは全くない。やりたいですか?」

▼記者「(求人は)あるのは、ある?」

▼“闇バイト”勧誘者「まあ、はい。タタキ(※強盗)の方がいいっすか?タタキって運なんですよ。どこのお宅に何千万円あるって、実際に行ったら20万円しかないとか。金になんないし、そっちの方が罪、重くなるんで。リスクに対してリターンが曖昧過ぎるかなって。もしよろしければ、タタキでもいいっすよ」

強盗の紹介もできると口走った闇の採用担当者。記者がここで身分を明かした。「テレビ西日本の記者なんですけど…」。その途端、通話は遮断された。そしてこの後、闇の採用担当者と連絡がつくことはなかった。

犯罪に加担すると人生が一変してしまう。高額の報酬の仕事や「♯ホワイト案件」と書かれているものには、応募しない、関わらないことを徹底することが肝要だ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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