獣害によって耕作放棄地も 「来年は安心して野菜を作れるように」

サルやイノシシなどが農作物を食い荒らす獣害。中山間地域では、いまも深刻な被害が続いている。こうした中、アイデアを絞ったユニークな獣害対策の取り組みを行っている地域がある。

福井市美山地区の計石集落。威嚇用のエアガンを携えて、鋭い目つきで歩く3人の女性。
サルによる獣害防止に取り組む「モンキーバスターズ」。

2020年5月に伊井美由紀さん(67)、石村昌子さん(74)、木下たつ子さん(68)の3人で結成した。

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木下たつ子さん(68):
結成した理由はことしのサルの出方

石村昌子さん(74):
ことしは特にひどい

彼女たちは、JA福井県美山エリアの女性部員。

撃退方法の指導など活動をサポートしているJA福井県美山支店によると、地区内のサルは5年前から増え始めた。

2020年は例年より早い2月から現れ、6月中旬には連日のように出没。
手塩に掛けて育てた野菜を食い荒らした。

収穫を楽しみにしていたお年寄りにとってショックは大きく、農作物を作らなくなった集落も出てきたという。

伊井美由紀さん(67):
70、80のおばあちゃん、おじいちゃんは根こそぎ盗られると、もう来年は農作物を作らない。「もうわたしら出来ん」となるんです。意欲を失う、そうするとこの辺草薮になる

耕作放棄地が増えると、ますます地域の過疎化に拍車がかかるため、モンキーバスターズはこうした悪循環を変えようと奮闘している。

サルを見かけたという情報が入ったら、すぐに現場へ緊急出動。
怒声を放ちながらエアガンで威嚇射撃し、サルを集団ごと別の山に移動させる。

石村昌子さん(74):
サルを追い払って、来年は安心して野菜を作れるようにすることが目標

木下たつ子さん(68):
来たらまた声を掛け合ってみんなで追い払う。そうして来なくなればいい

サルの出没の頻度は7月以降減少。
モンキーバスターズの地道な取り組みはこれからも続く。

獣害対策にロボットを設置 効果の拡大が課題

一方、こちらは越前市の集落、宮谷町。
山際に広がる田んぼでは、15年ほど前からイノシシやシカによる獣害が深刻化している。

加藤吉則区長:
実りの秋を迎えるころに、バタバタと実った稲が倒される

そこで、獣害対策に取り組む地元・仁愛大学が2年前に設置したのが、オオカミ型ロボット、その名も「スーパーモンスターウルフ」。

北海道のメーカーが開発したというスーパーモンスターウルフ。
動くものをセンサーで検知すると、鳴き声や電子音など50種類の音声を流して威嚇する。

仁愛大学の安彦智史准教授の研究室は、このロボットの周囲に複数のカメラを置いて効果を検証した。

仁愛大学・安彦智史准教授:
守れても(半径)150メートルという結果

ただ、これだけでは獣害の抑止は一定範囲に留まることから、効果の拡大が課題に。

広範囲に効果をもたらすことが可能に

研究室は、東京の会社と共同で新しい装置を開発した。

新装置は、動物を1カ所で検知すると無線通信で周辺に置いた装置も連動して音を出し、これまでよりも広いエリアで追い出せるとしている。

9月にも宮谷町内の10カ所に設置し、オオカミ型ロボットとあわせて運用する。

仁愛大学・安彦智史准教授:
新獣害機器では、既存の装置と連携して広範囲に効果をもたらすことが可能

まもなく迎える実りの秋。
動物たちが好むクリやカキ、そしてコメが収穫を迎える。

人間、そしてロボットによる獣害対策の"出番"はこれからも増えていきそう。

(福井テレビ)