ブリヂストンは空気を使わない次世代タイヤ「エアフリー」の試乗会を開催した。メンテナンス不要の利点を強調しており、人手不足や負担軽減が期待される。専門家は、タイヤの維持管理が不要になることで燃費や安全性におけるメリットが大きいと評価している。
空気不要の次世代タイヤで課題解決へ
空気のいらないタイヤで、人手不足などの課題解決を目指すーー。

ブリヂストンは、空気の代わりに樹脂で車体を支える次世代のタイヤ「AirFree(エアフリー)」の自治体向けの試乗会を行った。

柔軟性のある樹脂で耐久性や乗り心地を向上させたとしていて、空気を入れるなどのメンテナンスも不要。高齢化や労働力不足が課題となる地域で、公共交通機関での活用が見込まれている。

滋賀・東近江市 都市整備部・山本享志管理監:
運転手やメンテナンスの整備の方も減ってくる中で、それでもその地域にとっては、やっぱり交通網はなくてはならない。メンテナンスフリーということは、負担軽減にもなるのかなと。

ブリヂストンは、2026年の社会実装を目指すとしている。
環境負荷軽減・エネルギー効率で注目の低速電動車
「Live News α」では、日本総合研究所 チーフスペシャリストの村上芽さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
新しいモビリティを支える空気のいらないタイヤ、どうご覧になりますか。

日本総合研究所 チーフスペシャリスト・村上芽さん:
もともと、タイヤの空気圧をこまめにチェックすることは、燃費のためにも、安全運転のためにも必要なことでした。
そのチェックが不要で、しかも性能が落ちないならば、維持管理の負担を減らすメリットが生まれます。
堤キャスター:
この「エアフリー」のタイヤは、ゆっくり走る電動車での活用を想定しているようですね。
日本総合研究所 チーフスペシャリスト・村上芽さん:
今、「グリーンスローモビリティ」という時速20㎞未満で、公道を走る電動車を利用した交通サービスが注目されています。
「グリーン」と呼ぶのは、一般的にCO2排出量が少ない電気自動車で、「スロー」は、文字通りゆっくり走るからです。この速度については、ガソリン車の場合、「速すぎても、遅すぎても燃費にはよくない」と聞いたことがあるかもしれません。
電気で走るクルマの場合、スピードを出すほど充電した電気の消耗が進みますが、時速20km未満の電動車では、エネルギーの消費も「ゆっくり」になります。
環境負荷の少ない移動手段がまちづくりに不可欠
堤キャスター:
グリーンスローモビリティでは、どんな利用が考えられるのでしょうか。

日本総合研究所 チーフスペシャリスト・村上芽さん:
具体的には、観光地で景色を眺めながらの移動や、高齢者の多い住宅地内などでの活用が想定され、この5年ほどの間に、様々な自治体で実証実験が行われてきました。
このグリーンスローモビリティは、SDGsとの関連では目標11「住み続けられるまちづくりを」 に関わります。
「まちづくり」には、誰にとっても使いやすく、環境負荷の小さい移動手段を組み合わせることが求められます。これまでの乗用車やバスでの移動に代えて、鉄道との組み合わせで、電動車や自転車などの活用などが考えられます。
文化遺産や自然遺産の保護・保全も、目標11に含まれています。走行時に排気ガスを出さず、また、事故を起こしにくい速度を保てることは、観光資源を守っていくためにも有効だと考えられます。
堤キャスター:
モビリティにおいてタイヤは欠かせないものです。パンクの心配がないという安心だけでなく、こうした技術が社会課題の解決につながり、新しい価値を創ることにつながることを期待したいです。
(「Live News α」10月24日放送分より)