タイ東部チョンブリ県のカオキアオ・オープン動物園で7月に誕生したメスのコビトカバの赤ちゃん、ムーデン。

7月に誕生したコビトカバの赤ちゃん ムーデン (khao kheow open zoo)
7月に誕生したコビトカバの赤ちゃん ムーデン (khao kheow open zoo)
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日本語に直訳すると「豚肉団子」というストレートすぎる愛称に加え、うっとりとした目で見つめたり、時には怒った様子で飛び跳ねる愛らしい姿がSNSを通して大人気となり、その名が世界中に広まった。

我々が9月に現地を取材した際も、ムーデンの周りには人だかりができ、来園者たちは母カバ、ジョナーの後ろをテクテクとついて歩く姿に興味津々。大きなあくびをしたり、シャワーを向ける飼育員から逃げて走り回るなど、ムーデンが動くたびに歓声が上がっていた。

取材中、飼育員から逃げ回るムーデン(9月13日)
取材中、飼育員から逃げ回るムーデン(9月13日)

動物園がムーデンの様子をライブ配信するとSNSのフォロワーは120万人を超えた。また、日本を含め世界各国から多くの観光客が訪れ、週末で約3000人だった来園者は倍以上の7000人となり、見学は1人5分間に制限される日もある。

そして、この人気にあやかり様々なビジネスが展開されている。

バンコク都内のカフェ「VETMON CAFE」では、もちもちプルプルの肌質までこだわり、くりっとした目も本物そっくりのムーデンケーキが登場した。店長によると、客の要望で作ってみたところ人気となり、今では1日100~150個の注文があるという。

カフェ「VETMON CAFE」で販売中のムーデンケーキ
カフェ「VETMON CAFE」で販売中のムーデンケーキ

カフェ「VETMON CAFE」店長
(おすすめの食べ方は?)目を合わせたまま、お尻から食べます

リアルすぎるためケーキをカットするのが少しかわいそうな気もするが、注文した子どもたちは「ケーキだから大丈夫。すごくおいしい!」と楽しんでいた。この店では、ハロウィーンに合わせて仮装したムーデンケーキの販売も検討中だ。

ムーデンケーキを食べる子どもたち
ムーデンケーキを食べる子どもたち

バンコクのアイスクリーム店「IceDEA」が販売を始めたのは、ムーデンの母親・ジョナーの形をしたアイスがのった飲み物だ。

もともと、母カバのジョナーの形で開発していたもののコロナ禍により一旦断念。そんな時にムーデンが人気になって再度販売を決めた。客の反応もよく、1日20~40杯ほど売れているという。

「IceDEA」で販売中の母カバ・ジョナー形の商品
「IceDEA」で販売中の母カバ・ジョナー形の商品

動物園によると、10月12~14日に園内限定で販売したTシャツ、シャツ、ズボンの3点セットは3日間で1万3000セット以上を売り上げたほか、ムーデン柄のサンダルなどのグッズも開発中で、その人気は止まらない。

他の動物園で10月に誕生した普通のカバの赤ちゃんにも目が向けられるなど、“ムーデン旋風”はまだまだ続きそうだ。

(FNNバンコク支局 田中剛)

田中剛
田中剛

FNNバンコク支局長。2000年フジテレビ入社。情報番組「めざましテレビ」「とくダネ!」でディレクターやコーナーデスクを担当。
2010年から報道局社会部で司法クラブ、宮内庁クラブ、デスクを経て、2022年8月から現職。