警戒する様子もなく園内で休憩する鳥の写真がX(旧Twitter)で話題となっている。
来園者の皆さんが大変優しく接してくださるので、通路でくつろぐようになりました。
島根・松江市にある花と鳥のテーマパーク「松江フォーゲルパーク」の公式Xアカウント(@matsuevogelpark)がこんなコメントと共に投稿したのが、鮮やかな赤色の鳥・ショウジョウトキが園内の“通路”で羽を休めている写真。

松江フォーゲルパークによると、この場所は鳥と触れ合える温室内の通路にある橋の上で、必ず来園者が通る道だという。人が通る場所だとは思えないほど、どっしりと腰を下ろして座っている。

この落ち着いた姿には「野生の喪失……」「えー!可愛い!」「温かく見守りたいですね」との声の他、「おおぉ…そのまんまでいてください(来園者のみなさま)」という来園者の対応への声も寄せられている。投稿は2万7000のいいねが付いている(9月24日時点)。
担当者「あっ、そこで座るんだ」
とてもリラックスした姿だが、いつ頃からくつろぐようになったのか?そして、今までの来園者はどのように接してきたのだろうか?
松江フォーゲルパークの広報担当・山田篤さんに話を聞いてみた。

ーー撮影時の状況を教えて。
私が温室に入った時にはもうすでに座っていました。人通りが少ない時間帯だったとはいえ、通路でくつろいでいるのはあまり見ないことなので撮影しました。
ーーこの姿を通路で見た時、どう思った?
「あっ、そこで座るんだ」と思いました。

ーーそもそもショウジョウトキとは、どんな鳥なの?
トキ科の鳥で、全長約60cm。南アメリカ沿岸部に分布し、海岸や川岸のマングローブ林などに生息。小魚や甲殻類を食べます。特徴的な赤い羽は、食べ物に含まれている成分が影響しています。繁殖シーズンに入ると、さらに濃く美しい発色になります。

ーー普段はどのように過ごしているの?
木の上で羽繕いしたり、水辺で水を飲んだり水浴びしたり、温室内を自由に動き回っています。
基本的には、人が入ってこない場所や他の鳥に邪魔されないスペースの、岩の上や柵の上などでくつろいでいます。

ーー警戒心が強い鳥なの?
来園者がエサをあげられるシステムになっていることや、普段から人の出入りがたくさんあるので、当園のショウジョウトキに関して言えば極端に人間を警戒はしていません。
今は1羽のみだが今後も増える可能性も
ーーいつ頃から通路上でくつろぐ姿を見るようになった?
2024年の夏くらいからよく見かけるようになりました(週に1回くらい)。通路でくつろいでいるのは、この個体くらいで、他のトキでは見たことがありません。
この個体はくちばしが曲がっていてエサをついばむのが苦手なので、来園者さんから優先的にエサをもらえることがあります。2001年の開園時に成鳥の状態でやって来てから約23年間、この温室で暮らしているので「すっかり慣れている」といったことが理由ではないかと思います。

ーーくつろいでいる時はどのような様子?
投稿画像のような感じで、座ったまま羽繕いなどをしています。あまり近づかなければ人が通ってもこのままです。

ーー「来園者の皆さんが大変優しく接してくださるので」とのことだが、どういうこと?
追いかけたり、おどかしたりしないことはもちろん、くちばしが曲がっていてエサをついばむのが苦手なこの個体に優先的にエサをあげたりしてくださいます。
ーー改めて投稿にはたくさんの反響があることに対し、どう感じている?
たくさんの反応をいただけてありがたいですが、日常の様子の投稿だったので「なぜ?こんなに」という気持ちで、正直驚いています。

ーー他の個体が通路上でくつろぐ可能性はある?
個体の性格にもよりますが、同じようにくつろぐショウジョウトキがでてくる可能性はあると思います。
ーー来園者は気をつけた方が良いことはある?
今まで通りの距離感で接してもらえればと思います。

松江フォーゲルパークには18羽のショウジョウトキが暮らし、来園者はエサをあげることができる。しかし、触ろうと近寄ると逃げていくそうなので、エサは手に乗せてトキたちの方からついばみに来るのを待つと良いそうだ。
来園者の皆さんが大変優しく接してくださるので、通路でくつろぐようになりました。#ショウジョウトキ pic.twitter.com/Pr6g7EEvWA
— 松江フォーゲルパーク (@matsuevogelpark) September 16, 2024
山田さんは来園者に対し、「鳥たちがすっかりくつろいでしまうくらい、優しく接していただきありがとうございます。安心して暮らしていけるよう、今後ともよろしくお願いいたします」と感謝をしていた。