広島のユーチューバーら、ほとんどが自動車づくり未経験のチームで開発が進む1人乗りの超小型電気自動車「mibot(ミボット)」は、1カ月弱で1000件近くの予約が入った。2025年9月に量産化を目指しているが、今回初めて記者が試乗、運転してみた。
3年にわたる開発過程を動画公開
東広島市のスタートアップ企業「KGモーターズ」が開発している超小型EV「mibot」は2025年9月に量産化を目指していて、すでに1000件近くの予約が入っているという。
この記事の画像(12枚)KGモーターズ・楠一成社長:
ゴルフカートのような乗り心地を想像する人が多いが、普段、車に乗っている人でも、違和感のない乗り物を目指しています。
素人同然だった初期のメンバーが2021年のプロジェクト発足以降、試行錯誤の様子を“ありのまま”に動画で発信。その存在を知った「車づくりのプロ」も仲間に加わり、進化を遂げている。
志をともにするユーチューバーのグループが「ゼロ」からつくりだしたモビリティーだ。KGモーターズは小型モビリティロボットと位置づけ「mibot」と名付けた。
開発チーム以外で初の試乗
記者が初めて試乗することになった。その乗り心地は…
五十川裕明記者:
結構、広さがありますね。足も伸ばせますし、思ったよりも広い。
五十川記者:
アクセルを入れたらウィーンと音がしました。カーブもハンドル操作もスイスイです。1人乗りに対する不安感がありましたが、すぐに慣れてきましたね。F1レーサーと言ったら、ちょっとカッコよすぎかもしれませんが「自分が運転してるぞ」という感覚があります。
1人乗りにしたことには理由がある。1人乗りの原付ミニカー規格だと、車検、車庫証明の必要がないことがメリットだ。最高時速は60キロ、家庭用100Vコンセント1回5時間の充電で、約100キロ走ることができる。
今回は、舗装された平地の駐車場で加速もスムーズだった。坂道での走行テストも実施済みで、一般の人に日常生活のあらゆる場面で利用してもらうことを想定している。
ちょっとしたスペースに駐車できる
試乗では、バックでの駐車もやってみた。
五十川記者:
かなり余裕がありますよ。左右に止めやすい。まだ後ろ余裕あります?結構、後ろ下がりました。普通の車であれば、もう車止めに当たっているかなというところです。
スペースに余裕を残し、スッポリと収まった。
KGモーターズ・楠一成社長:
「車は止められないけど、ちょっとしたスペースはある」というご家庭も多いと思うが、そういうお宅でもプラス1台、置けるのではないかと思う。
国の調査では、車で移動をする人の約7割が、10キロ以下の距離を、しかも1人で乗っているというデータがあり、幅広い世代からニーズがありそうだ。8月からKGモーターズのホームページで一般販売の予約が始まっていて、すでに全国から1000台近い予約が入っているということだ。
KGモーターズ・楠一成社長:
われわれのような大手ではないスタートアップ企業が、新しい乗り物をつくる際には、工程をきっちり全部やっていかざるをえない。公開した動画でその様子を見てもらうことで、より信用していただけるのではないかと思う。これからは信頼性アップのために日々積み重ねていきたいと思います。
狭い道が多い広島県呉市で育った楠社長が、高齢者が狭い路地を軽自動車で、車輪が側溝に落ちそうになりながら運転するのを見て、もっと小型の車をと思ったのが、この超小型EV開発の原点ということだ。今後、狭い道が多い街や高齢者など幅広い需要が期待される。
(テレビ新広島)