土地取り引きの際の適正価格の指標となる地価が公表され、平均変動率の上昇幅は沖縄が全国を上回った。
2024年は本島北部地域の地価の上昇が顕著で、前回変動がなかった今帰仁村は10ポイント近く上昇している。
地価を押し上げる背景を取材すると、北部地域の観光を巡る新たな動きが見えてきた。
住宅地に関してはこれまでにない変化が
今年の地価調査は県内41市町村・284地点を対象に行われ、住宅地や商業地などを合わせた全体の平均は5.9%と2023年に引き続き上昇した。
この記事の画像(10枚)上昇の要因は、新型コロナが5類に移行し国内観光客が増加したことや、航空路線やクルーズ船の拡充に伴い、インバウンドも増えて住宅地や商業地の需要が高まりがあると見られる。
一方、住宅地に関しては、これまでにない変化が起きている。
那覇市など中南部地域が中心となっていた地価の上昇が、2024年は変動率のトップ5に恩納村や今帰仁村など北部地域がランクインした。
住宅地変動率(令和6年)
1.宮古島17.9%
2.北中城村16.9%
3.恩納村13.2%
4.宜野座村10.3%
5.今帰仁村9.7%
その理由の一つが、2025年夏に開業予定の「ジャングリア」。
名護市と今帰仁村にまたがり建設が進められる中、従業員用のアパートなどの住宅需要に加え、開業を見据えた観光関連施設など、業務用地の需要が高まっている。
これを背景に土地取得の状況は名護市を中心にひっ迫し、その影響を表すように、これまでほとんど変動のなかった今帰仁村の地価は、平均価格1万500円から1万1400円と平均変動率9.7%まで急騰している。
地価上昇の一方で複雑な思いの人も
同じく北部地域で地価の上昇が著しいのが、観光地として人気の恩納村。
地元の人は:
増えているね、本当に増えている。ダイビングはもうこっちはいっぱいよ
ダイビングショップの向かいに店を構えているのは、インバウンド専門のダイビングショップ。
美しい恩納村の海を観光資源に事業に乗り出す人が増えている。
地元の人は:
土地を借りてやっている人も多い、言えばみんな内地の人って感じ。土日だったらもういっぱいっていう感じ
県道沿いの土地だけでなく、移住者用の住宅地の売買が盛んになったことで、恩納村の平均変動率は13.2%となっている。
しかし、昔からこの土地に住む人は複雑な思いも抱えている。
地元の人は:
業者にとってはいいはずだけどね、住んでいる人にとってはそんなに恩恵はないですよ。車が多くなったもんですから、この辺もレンタカーが多いですからね。
地価が上昇したからといって簡単に土地を手放すことはできないと話す。
地元の人は:
手放す人もいるはずだけど、先祖からの土地だから簡単に渡すわけにはいかないし
不動産鑑定士など専門家は、「北部地域は元々観光資源も豊富で観光客を呼び込む努力も進められていたなか、ジャングリアという新たな影響も加わった」「向こう数年は名護市などを中心とした北部地域の土地取り引きが熱を帯びるだろう」と話す。
(沖縄テレビ)