9日、「日本維新の会」が兵庫県の斎藤元彦知事に「辞職の申し入れ」を行いました。一方で、斎藤知事は改めて続投を強調しています。

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「めざまし8」にゲスト出演した、兵庫県の前明石市長で百条委員会を実際に傍聴した泉房穂氏は、斎藤知事の印象をこう話します。

前明石市長 泉房穂氏:
私も市長で2年間ご一緒しましたけども、知事選に出る前に「どうして知事に立候補するんですか?」と聞いた時に、政策面とか、何をしたいというのがほとんどなかった方なので。
ただ、知事になりたい強い気持ちは伝わったので、“知事になりたい方”だなあという印象は強く持っています。ポストに対する強い意志を感じました。

――維新の対応の変化について
やはり選挙が大きいですよね。大阪の箕面市というところで、現職の維新の市長が大敗していまして関西でも維新に対する風当たりは強いですから、総選挙も近い中で方針転換を図ったと。
ただ遅いですね、もっと早くやっておくべきだったと思います。

――斎藤知事が贈呈品を持って帰ったことについて
基本的に知事は強大な権限がありますから、そこに物が来たとしても原則的には断るべき。贈呈品は受け取らないとトップが方針を示せば秘書課の方が「すみませんお気持ちだけで」とできるわけですから、知事がそうじゃないからこうなっているわけであって。

“おねだり”という表現を使いますけど、私は知事という立場の権限や地位のポストをどう使ったかがこの問題のテーマだと思うので、そこが“私利私欲”に使われたのではないかと。
今の時代に、知事や市長が贈答品を平気でもらったらいけないと思いますけどね、原則はNOで、例外的にやむを得ない部分はあるかもしれませんが、尋常じゃないですね。

――周りは止めないのですか?
トップは人事権と予算権があるから、人事権を背景にしているから欲しいものがあったら用意しようで周りで動いちゃうし、関係の方々も補助金とかありますから、結局気を使っちゃうから。はっきり言わなくとも、忖度して用意してしまう文化があるので。
自分で食べるなら、それなりの収入があるのですから自分で買えばいいし、行政として観光PRをするなら、予算編成をして予算組みをして買ってPRをするが本来であって。

――贈答品などを県からもらえるのかと問い合わせることはあるのか?
県の職員が「知事が欲しいな」ということが分かれば、関係の所に「知事がこういうの好みだそうですよ」とお伝えすると、それを察して用意することはありますね。トップがもらわないという方針を出さないと、どうしてもこういうグレーゾーンになってしまうと。

「何のために知事になったんですか?」がテーマだと思うんです。知事になって兵庫県をよくしたいとか、県民をこうしたいという思いがあれば、こういうふうになっていない訳で、私からすれば、“知事の立場を利用して”という形に見えるので。

人が亡くなっている、告発した方も、告発内容のひとつであるパレードを巡る公金不正の関係者も亡くなっている、財団の役員も亡くなっている。
そういう意味では“おねだり”という表現は言葉があれですけど、権力の乱用というか、知事のポストとか地位をどう使ったかという論点で見た方がいいと思います。

「自分は悪くないのに」感覚の違いと“土壌”

前明石市長 泉房穂氏:
私も百条委員会をフルで傍聴させていただいた事もあるし、ご本人も存じ上げていますが、印象として“本人は悪いと思っていない”と思います。素で「自分は悪くないのに、たたかれている被害者」みたいな感じだから、本人は自分が被害者だと思っている節は感じますね。

兵庫県には特徴があって、60年以上にわたって総務省(以前は自治省)の中央省庁の官僚がずっと知事なんです。1962年から62年にわたり、今もです。総務省だけなんですよ。ですから、「一種のお殿様状態」で、県庁組織としてもお殿様が欲しいものを見繕って献上するような文化が若干根っこにあって。
だから本当は止めればいいんです。「知事、それはさすがに、はしたないですよ」とか、ご自身もそれなりに収入があるのだから自分で買ったらと言えばいいのに、それを言う職員がいなくて、みんなが知事の欲しいものを集めていく、関係団体に声をかけてしまう部分の中で“土壌”もあると思います。

前明石市長 泉房穂氏:
知事個人の問題だけではなくて、やはり県庁組織の問題もあって。例えば20m歩かされた問題がありましたけど、車が入ってはいけないところですから、「知事ここは入ってはいけないんです」と言えばいいのに、言わずに帰りは車両禁止エリアに横付けしているんです。ルールを破っているんです。
県民が扱う授乳室も知事が着替えの部屋が欲しいと言ったので、そこを使用禁止にして県民の利便性より知事に配慮してしまっている。知事が「あの人にこういうものを返しておいて」というと、予算がないので県職員が自腹を切って、みんなで集めたお金でやっているんです。つまりもう完全に、ルール違反をしたり自腹を切ってまで、ご奉公する文化という県職員の問題。あとは、県議会がしっかりしていない問題。

鈴木おさむ氏:
(贈答品の問題は)重箱の隅をつついているように見えるけれども、確信に迫るきっかけになることが大事ですよね。くだらなくも見えますけどちゃんとこれで、真ん中に迫ってくれるといいですけどね。

MC谷原章介:
斎藤元彦知事単体を攻めてもどうしようもないこともあって、片山元副知事であったりとか、側近の皆さんが行った県政の運営、もっと振り返ればその知事を推した自民党と維新の責任もあると思いますね。

――泉さんは市長を辞職された後、出直し選挙で再選したわけですが、斎藤知事は今後どうすると思いますか?
前明石市長 泉房穂氏:

私自身、このテーマを言うときはある意味自分のことを反省した上でになるわけですが、自分の場合は、不祥事についてニュースになった3日後に辞職をして、その後、民意で選ばれなおして市長を続けたわけです。
斎藤知事も続けたいのであれば、辞職されて民意を問うて県民の民意を得てから続けたらいいと思いますし、それをしないのであれば民意を受けた県会議員がちゃんと決めて不信任決議をするべきだと思います。
私は「したいことをするではなく、しなくてはいけないことをするのが政治家」だと思っていたので、自分のやるべき事はやめることだと、私はそう思っていました。

MC谷原章介:
議会を解散して選挙を行っても税金はかかる、実は知事の任期は来年の7月なんですよね。ですから、1年弱このまま我慢するのか、それとも知事の選挙だけをやるのか、でもそれも税金がかかるわけです。いずれにせよ兵庫県民の負担というのはすごく大きなものですね。
(めざまし8 9月10日放送)