7月の大雨で店が被災し、一時休業していた山形・戸沢村の「ぼた餅」販売店が営業を再開して間もなく1カ月を迎える。店長の女性は買い物に来てくれる「客のありがたみ」を日々感じているという。
1個1個が手作り 人気のぼた餅
戸沢村古口の国道47号沿いにある「戸沢のぼたもち」。店長の樋渡みさ子さん(63)が13年前の2011年に開いた。
この記事の画像(9枚)あんこ・ごま・きなこ味のぼた餅が店の主力商品だ。
店のぼた餅は1個1個が手作り。樋渡さんは「『もっと上手に作りたいな』『もっときれいに作りたいな』『もっと早く作りたいな』と毎日思っているんですけど、なかなか思うようにできないことが悔しいです(笑)」と話した。
店は国道沿いにあるため、新庄と庄内を往復する人や県外の観光客など、ぼた餅を買いに来る客はさまざま。
庄内から来た客は「(この店のぼたもちが)父が好きなので寄らせてもらっているんです。あんこが特に大好きで、甘さもちょうどよくて」と、実家に帰る際に店を訪れているという。
また、鶴岡市から来た客は「ここのあんこが好きなんですよね。甘ったるくなくて」と話した。
「水はこの線、ここに線がついているんですけれど取れないんですよ。洗っても洗っても」と樋渡さんが指さす場所には、その高さまで水が来たと分かる跡が残っていた。
7月の記録的な大雨で戸沢村古口地区は水に浸かった。雨が降ってきたとき、樋渡店長はすぐ避難した。
樋渡さんは「もうドロドロでした。歩くところがないくらいひどかった。これどうやって片付けるんだろうと思った。見たときは、もう何にもできなかったですね」と、当時の店の状況を見てショックを受けたという。
山形市や大石田町から親戚がかけつけ、泥かきや片づけを手伝ってくれたおかげで店は4日で片付き、被災してから約2週間後の8月8日に営業を再開することができた。
樋渡さんは「何もできないけれど、買い物に来るくらいならできる」「買うくらいならできる」という客の言葉を聞き、あらためて客のありがたみを感じたという。
再び店頭に立てる喜びかみしめて…
再開したとき店の前を通る国道47号は通行止めで訪れる客は少なかったそうだが、通行止めが解除されると次第に戻ってきたという。
戸沢のぼたもち・樋渡みさ子店長:
常連の客がいっぱい来ますけれど、本当にいつもありがたいと思っている。言葉では言い表せないくらい感謝している。
平日は500個、土日なら1000個ほどぼた餅が売れるという「戸沢のぼたもち」。
再び店頭に立てる喜びを樋渡店長はかみしめている。
(さくらんぼテレビ)