多くの有名アーティストが下積み時代に実力を鍛えた「路上ライブ」の場だが、現在、騒音などで苦情の種となっている。
街ではアーティストを擁護する人もおり、賛否両論の声があげられる中で、どのように折り合いをつけていくべきなのだろうか。

「うるさい」「邪魔」の通報も…

数々のアーティストが生まれているストリートライブ。
「ゆず」や「コブクロ」など国民的な有名アーティストも、街頭から大きく羽ばたいていった。

そんな「路上ライブの聖地」と呼ばれる場所の一つで、悩ましい議論がわき起こっている。

それが、路上ライブに「うるさい」「邪魔だ」という通報が増えているというのだ。

路上ライブを行うアイドル
路上ライブを行うアイドル
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その現場、JR川崎駅の東口駅前広場に行ってみると、雨が降る中、路上ライブを行うアイドルやギターの弾き語りをする人などがいた。

この広場で路上ライブを行っていたアーティストには、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞した「マカロニえんぴつ」や、ストリーミング累計再生回数39億回を超える「優里(ゆうり)」などがいる。

数々の有名アーティストやアニメの舞台になったことで、川崎市は「音楽のまち」というキャッチフレーズもついている。

しかしSNSでは、路上ライブについて「受け付けない音や声があるし、音量が大きくて、うるさいと感じることはある」など批判的な声も見られる。

広場を管轄する川崎警察署によると、通報の数は1日に2~3件あるという。

一方で、路上ライブを擁護する人もおり、「こういう声で文化が潰されていくのかな?川崎駅前の路上ライブ、好きなんだけど…」との声もある。

実際に川崎駅前で、街ゆく人が路上ライブについてどう思っているのか、インタビューした。

――どうですか?路上ライブは
川崎駅の利用者:

「マカロニえんぴつ」やそういうアーティストが生まれるぐらいの場所なら、むしろ閉鎖した方がもったいない。

また、「歌まではその人が発するものなので、いいと思うが、ドラムはちょっと違うんじゃないかな。おそらく歌よりも(ドラム)だと思う。」と話す人もいた。

駅前の広場は「道路」にあたる
駅前の広場は「道路」にあたる

駅前の広場は法律上「道路」にあたるため、本来は警察から道路使用許可を取る必要がある。

 
 

広場を管理する川崎市の担当者に取材した。

川崎市の担当者:
限度を超えた音量でライブを行った場合、指導することもある。
厳密にいうと、申請のない路上ライブは禁止だが、市が“音楽のまち”を掲げているため、警察には路上ライブは大目にみて欲しいと依頼している。

一方、警察はそのような依頼を受けたことは確認していないという。

海外では場所に応じ時間規制

パトリック・ハーランSPキャスターに、海外ではストリートライブに対して規制などを行っているのか、見解を聞いた。

パトリック・ハーラン氏による見解
パトリック・ハーラン氏による見解

――パックン、海外だとストリートライブはありますけど、どうでしょう?
パトリック・ハーランSPキャスター:

例えば、ニューヨークだと、住宅の近くだったら夜8時までとか、公園だったら午後10時までとか、細かいルールはあるんですけど、それが結局文化として、住民の皆さんが受け入れるかどうかはそれぞれなんです。川崎市は長い目で見てほしい。

実際に路上ライブを行っている、アイドルの方にも聞いてみた。

路上ライブを行うアイドル「きゃらめるもんすたーず」
路上ライブを行うアイドル「きゃらめるもんすたーず」

――いろんな声が出ていますが、どう感じていますか?
路上ライブを行うアイドル:

それ(路上ライブ)がぱったりと無くなってしまうと、「音楽を発信してみよう」っていう最初の一歩自体がすごく遠のいちゃうのかなと思うとさみしいよね。
路上(ライブ)を禁止した方がいいって意見もわかるから、わかるけど、無くなっちゃうのはさみしいなと思います。

アーティストを育む路上ライブ。
マナーを守りながら、上手く折り合いをつけられることを願う。
(「イット!」9月2日放送より)

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