台風10号は29日に鹿児島県に上陸し、甚大な被害をもたらした。
九州各地で停電や、高速道路で大規模な土砂崩れが起きたほか、住宅の屋根が吹き飛ばされるなど、かつてない台風の勢力の大きさがうかがえる。

いまだ集落で停電続く

29日、鹿児島・薩摩川内市に上陸し、各地に大きな被害をもたらした台風10号。

鹿児島・薩摩川内市で道路を倒木がふさぐ
鹿児島・薩摩川内市で道路を倒木がふさぐ
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リポート:
午前10時の薩摩川内市です。ご覧のように、道路を複数の倒木がふさいでしまっています。
そして、その先には集落があるんですが、その集落が孤立してしまっているということです。

10本以上の木々が根元から倒れ、道路をふさいだため、この先にある2つの集落の、22世帯が孤立した。

10本以上の木々が根元から倒れた
10本以上の木々が根元から倒れた

また、木々は電線を巻き込む形で倒れたことから、集落では停電が続いている。

道路が木々にふさがれ、22世帯が孤立
道路が木々にふさがれ、22世帯が孤立

倒木の向こう側には、孤立した集落の住民の姿が見られた。

物資を届ける消防団
物資を届ける消防団

消防団員は、倒木を乗り越え、住民から要望のあった食料や飲料水などを届けていた。

薩摩川内市 市民安全部・上戸理志部長
薩摩川内市 市民安全部・上戸理志部長

薩摩川内市 市民安全部・上戸理志部長:
今回、蓄電池、バッテリー等も送っておりますので、(住民と)密に連絡を取りながら、住民の不安解消に努めてまいりたいと考えています。

倒木の撤去作業
倒木の撤去作業

30日夕方までに倒木の撤去作業が行われ、集落の孤立は解消された。

川の護岸が大規模な崩落

29日に線状降水帯が発生し、「緊急安全確保」が出された大分・国東市では、川の護岸が崩落した。

大分・国東市の道路が大きくえぐられ通行止めに
大分・国東市の道路が大きくえぐられ通行止めに

道路が大きくえぐられ、通行止めとなっていた。

リポート:
国東市安岐町では川の護岸が大規模に崩れました。この護岸の上には道が通っているのですが、途中で完全に寸断されてしまっています。

この道は、地元の人たちのが暮らすうえで、なくてはならない生活道路だという。

住民:
(被害が)あそこまでとは思いませんでした。何で、あそこがポックリなくなったのか、本当わからないんです。村の人にとっては本当に苦しいですよ。

土砂崩れで高速道路で通行止め

同じく「緊急安全確保」が出された由布市では、高速道路脇で土砂崩れが発生していたことがわかった。

リポート:
由布岳パーキングエリアの入り口です。大規模な土砂崩れが発生し、本線にも大量の土砂が流れ込んだということです。

大分自動車道 由布岳パーキングエリア付近
大分自動車道 由布岳パーキングエリア付近

土砂崩れが起きたのは、大分自動車道の由布岳パーキングエリア付近。

土砂崩れが車線をふさいでいた(映像提供:大分県)
土砂崩れが車線をふさいでいた(映像提供:大分県)

映像からは、土砂が広範囲にわたって広がり、車線をふさいでしまっているのがわかる。

NEXCO西日本によると、29日午前8時頃、巡回中のNEXCO交通管理隊が、斜面の崩落による土砂の流入を確認した。

車が巻き込まれるなどの被害はなかったが、大分県内の高速道路では、現在も通行止めが続いている。

由布市では、道路に泥水が流れ込み、川のようになっている場所もあり、由布市湯布院町では、山の方から砂や石などが大量に流れ込み、重機による撤去作業が行われていた。

重機による撤去作業(大分・由布市)
重機による撤去作業(大分・由布市)

住民:
線状降水帯が出たあとに、この道路一面が泥水で、もう通行止めでしたね。
最近の水の量って、尋常じゃないじゃないですか。

倉庫が跡形もなく…

また宮崎県内では、29日に竜巻とみられる突風が吹いた宮崎市内以外でも、突風の被害があったことがわかった。

突風で倉庫が跡形もなく崩れていた(宮崎・西都市)
突風で倉庫が跡形もなく崩れていた(宮崎・西都市)

西都市では、倉庫があった場所が跡形もなくなっており、電線も垂れ下がっている状態だった。

屋根瓦が吹き飛んだ住宅
屋根瓦が吹き飛んだ住宅

また途中で直角に折れ曲がった電柱に、屋根瓦が吹き飛んだ住宅も見られ、なかには屋根ごとなくなっている家もあった。

さまざまなものが吹き飛ばされる
さまざまなものが吹き飛ばされる

リポート:
こちらには住宅の屋根と思われる部分が飛ばされてきています。そして、あれは窓枠でしょうか。まだ木に引っかかったままの状態です。これは壁の一部分でしょうか。いろんな物が飛ばされてきていてグチャグチャになっています。

宮崎・日向市では川の護岸が道路ごと崩壊
宮崎・日向市では川の護岸が道路ごと崩壊

日向市では川の護岸が、道路ごと崩壊。
道路の上には、太い丸太が残されていた。

福岡ではコンクリートの“のり面”が崩壊…

台風10号の爪痕は、福岡県にも及んでいる。

コンクリートののり面が崩壊(福岡・うきは市)
コンクリートののり面が崩壊(福岡・うきは市)

福岡・うきは市では、コンクリートの“のり面”が大きく崩れ、大牟田市では、住宅の石垣が崩落した。

のり面がはがれ落ち、歩道も大きくひび割れ
のり面がはがれ落ち、歩道も大きくひび割れ

リポート:
うきは市の土砂崩れがあった現場です。5〜6メートルはあろうかというコンクリートののり面がはがれ落ちるようになっていて、その影響で真下にある歩道も大きくひび割れてしまっています。

地面のアスファルトが持ち上げられた状態
地面のアスファルトが持ち上げられた状態

コンクリートで固められていた斜面は、大きくひび割れるように崩れ、その影響で地面のアスファルトも、持ち上げられた状態となっていた。

福岡・築上町では、増水した川でレスキュー隊による救出活動が行われていた。

河原の方からレスキュー隊が道路に上がり、要救助者の方を収容したのではないかとみられる場面もあった。

九州では30日も雨が降り続いていて、被害の拡大に注意が必要だ。
(「イット!」8月30日放送より)

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