東京都庁職員が毎日午後に職場でラジオ体操? 

午後2時55分、東京都庁舎にラジオ体操の音楽が流れ始めると、踊りだす都の職員たち。外部との打ち合わせ中でも、会議中の職員も、腕を伸ばしたり、背中をそらせたり。

都庁職員がラジオ体操をする理由は五輪と関係があった。

午後2時55分…ラジオ体操を始める都庁職員
午後2時55分…ラジオ体操を始める都庁職員
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金曜日に流れる東京都交響楽団演奏特別バージョンのラジオ体操は、YouTubeで公開されると28万回視聴突破とラジオ体操好きの間で話題沸騰中だ。

パリ五輪で大活躍した日本の選手団

オリンピック・パラリンピック期間中、東京新宿にある東京都の庁舎では、普段と違う光景が見られている。

オリンピック期間中のパリ市内
オリンピック期間中のパリ市内

平日午後2時55分になると、館内放送でラジオ体操が流れだすのだ。

すると庁舎内の職員たちが、席から立ちあがり、体を動かし始める。上司と打ち合わせ中だった部下は上司の机の前で。上司も部下の目の前で。

ラジオ体操をする都庁職員
ラジオ体操をする都庁職員

なぜ、都庁職員がラジオ体操をするのか? 

発案した東京五輪の運営を所管した東京都の生活文化スポーツ局に聞いてみた。

生活文化スポーツ局担当者
東京五輪を忘れることなく、五輪レガシーを職員の間で分かち合っていくため東京2020オリンピック開会日(7月23日)からパラリンピック閉会日(9月5日)までの期間ラジオ体操を実施しています

ラジオ体操する都庁職員
ラジオ体操する都庁職員

生活文化局の担当者からのコメントにはなかったが、彼らには東京五輪を風化させてはならない大きな使命がある。

それは、東京五輪のために建設された施設の利用率をあげ、次の世代に残していくというもの。海の森水上競技場など、一般公開をしたり、民間に運営を委託するなど、いろいろ頑張っているが、もっと利用者を増やしていく必要がある。

海の森水上競技場は音楽フェスの会場に使われることも
海の森水上競技場は音楽フェスの会場に使われることも

パリ五輪で思わぬ追い風もあった。

新型コロナウイルスという予期せぬ緊急事態で、無観客での大会となった東京大会にはいまでも賛否があるが、パリ五輪が実施されたことで、海外の選手たちなどから東京大会のほうが食事面やきめの細かい運営面が良かったなど、改めて東京大会が再評価されはじめている。

特別バージョンはYouTubeで28万回視聴超え

このラジオ体操企画への東京都の本気度が伝わるのが、金曜日だ。

平日の金曜日だけ、ラジオ体操の演奏が東京都交響楽団演奏の特別バージョンが館内放送に流れる。筆者も聞いてみたが、ソロパートのバイオリンの音色や、オーケストラによる演奏は、まさに芸術作品だ。

東京都交響楽団
東京都交響楽団

パリ五輪が閉会したので、都庁でラジオ体操が流れるのは、東京2020パラ閉会日である9月5日までとなっている。

ラジオ体操都響バージョンはYouTubeで見ることができ、特にPRしていないのに、一部のファンの間で人気が出ているようで、再生回数が28万回を突破しているそうだ。

(執筆:フジテレビ社会部 大塚隆広)

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。