4-6月期GDP27.8%減…過去最悪の落ち込み

内閣府が発表した4月から6月のGDP(国内総生産)速報値は物価変動の影響を除いた実質で、前の3カ月と比べてマイナス7.8%。このペースが1年間続くと仮定した年率換算でマイナス27.8%。マイナスとなるのは3四半期連続で、比較可能な1980年以降で最悪の落ち込みだ。

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個人消費と輸出が急減

緊急事態宣言に伴う外出自粛や店舗の休業を受け、GDPの半分以上を占める個人消費がマイナス8.2%と急減したほか、企業の設備投資もマイナス1.5%となった。
各国の経済低迷で輸出も自動車などが大きく落ち込み、マイナス18.5%。輸出にカウントされる訪日外国人の消費がほぼなくなったことも響いた。

こうした状況に麻生財務相は…

麻生財務相:
今の厳しい経済状況を反映した結果になっていると理解しています。新型コロナウイルスの感染拡大防止を行うと同時に経済成長を維持していくためには雇用を維持し、事業を継続するといった生活の下支えをちゃんとしていく。腹を据えてそのようなことをやらないとできない

内田嶺衣奈キャスター:
リーマンショックを超える戦後最悪の経済への打撃となりましたが、石倉さんはどうご覧になりますか

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
緊急事態宣言のタイミングというのはありますが、それでもやはりマイナス幅のインパクトが非常に大きいですよね。国内の消費はもちろんですが、輸出というところに関しては世界的にまだ新型コロナウイルスが感染拡大していますから、なかなか回復するには時間がかかるという印象ですね

労働生産性を上げる3つのポイント

内田嶺衣奈キャスター:
確かにそのように感じますが、この景気の落ち込みというのは今後どうしていけば回復につながるのでしょうか

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
GDPというの分解してみると、労働生産性労働参加率の2つに分解できる労働参加率に関しては、安倍政権になってから380万人以上の新しい労働人口が生まれています。失業率を見ても低いままで、完全雇用に近いような状態でずっと続いています。これ以上労働参加を増やしていくというのは、なかなか難しいのが日本の現状だと思います。
その中でGDPを上げていく・成長していくとなると、中々うまくいかなかった労働生産性をどれだけ上げられるかということに尽きるのではないかと思います

内田嶺衣奈キャスター:
労働生産性を上げていくためには、具体的にどんなことが必要になってくるでしょうか

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
個人的には3つポイントがあると思っています。
1つはやはり最低賃金の継続的な引き上げができるかということがあると思います。労働生産性があまり高くないとされるようなサービス業…例えば飲食、小売、福祉、介護・医療という業界で働いている方たちは割合として非常に多いですし、過半数を超えるような人数です。
最低賃金が上がってくると、この方たちの平均収入も上がってきます。それが消費に回ってくるのは、大いにありえます。国内消費全体の底上げが図れるようになると思います

内田嶺衣奈キャスター:
確かにGDPの6割を占める個人消費というのは、景気回復の大きなカギとなりそうですね。続いて2つめの労働環境のインフラ整備については

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
労働環境に関しては、労働生産性を上げていくかということに対して、インフラをどれだけ投資できるかが大きいかなと思います。具体的に言えば、すべての産業でITへの投資や、DXと呼ばれるデジタル・トランスフォーメーションをどれだけ推進しきれるかというのが、問われているとも思います

内田嶺衣奈キャスター:
3つめは補助金などの見直しということですが、具体的にどのように変えていくのが望ましいですか

(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
実は日本では、2000年から会社の数は120万社ほど減っています。その中でも先ほど申し上げたとおり、雇用というのは380万人以上増えているという現状があります。
会社が減っても、雇用は減らずに増えている現状があります。
すべての企業に一律に補助金・助成金を渡すという形ではなくて、ある一定の労働生産性を保てるようなところを優先して補助金を出していくというような、メリハリをつけたインセンティブが必要だと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
日本経済の回復のためには、時代の変化に対応して、社会全体が良い方向につながるようにシステムを変えていかないといけないように感じます

(「Live News α」8月17日放送分)