存廃の岐路に立つJR芸備線の利用者を増やすアイデアを沿線の高校生が出し合う「高校生サミット」が、広島県三次市で開かれ、高校生らは、自転車が載せられる通学列車やお好み焼き列車などユニークなアイデアを披露した。
通学で芸備線を使う高校生らが集結
8月25日に広島県三次市で開かれた「JR芸備線を考える高校生サミット」は、三次高校の生徒でつくる「芸備線を盛り上げる会」が沿線の広島・岡山両県の高校に通う生徒に呼びかけ、15人の高校生が独自の乗客を増やすアイデアを披露。サミットには日常生活で芸備線を利用する生徒や沿線の住民など、約200人が集まった。
この記事の画像(14枚)芸備線を巡っては、利用が特に低迷している岡山県の備中神代から広島県の備後庄原駅間68.5kmの存廃を含めたあり方を国、JR、沿線自治体で話し合うための、再構築協議会が2024年に全国で初めて設置された。3年後を目途に路線のあり方を決定する方針で、現在、協議が行われている。
芸備線の利用目的で最も多いのは通学で、広島県の沿線4つの市でつくる対策協議会の2022年の調査では、岡山県寄りの山間部、三次から備後庄原駅の間では約8割、広島市寄りの下深川から三次駅の間では約4割が通学利用。
通学で芸備線を使っている15人が、それぞれのアイデアや思いを披露した。
利用しやすいようなダイヤにしてほしい
庄原格致高校・川村さんからは、「授業終了後で午後3時半の列車を逃すと、6時まで列車がないので、学生のニーズに合わせたダイヤを考えてほしい」との声が出た。
また、ノートルダム清心高校・増田さんからは、「広島・三次間は普通列車で長いと2時間近くかかる。快速はどの便も始発駅から需要があり、増便する価値がある」と、やはり本数を増やしてほしいという要望が出た。
また、駅から高校までの距離がある生徒からは、「自転車列車」の要望も…
西城紫水高校・山光さん:
折り畳みでない自転車も持ち込める専用のスペースがあれば、幅広い利用者の増加が見込めると考えました。駅から西城高校までの道のりが結構遠いので、自転車で駅から通学できたらいい
また、沿線の観光地をイメージしたラッピング列車やつり革や席など内装の柄を変えて観光客を呼び込む工夫が必要だという声も出た。
中には、こんなユニークなアイデアも…
三次高校・武原さん:
お好み焼きを車内で焼いて食べられる列車。広島らしくて面白い
また、日常、芸備線を利用する高校生だからこそ出てくるこんな意見も新鮮に聞こえた。
車内は日常の生活空間
日彰館高校・瀬戸さん:
電車内、誰もいないので立ち歩いたり、自分の家みたいに使ってる
西城紫水高校・河内山さん:
庄原駅から西城までの通学の時間が少し長いので、友達と話せる時間が多いので楽しい
そして、最後は、自分たちの地元に対するアピールで締めくくった。
高校生代表によるアピール:
地域課題をみんなで考えて行動し、地域づくりで日本一注目を浴びるようにしていきましょう
サミットに参加した住民からは、地域の課題を考える場としての意味があると評価する意見が聞かれた。
参加者(三次市在住):
きょうみたいに高校生と一般の方が集まって活動すれば、だんだんと広がりがでるので、いろんなことで、どうすればいいのかを考えたらいい
三次市・福岡誠志 市長:
利用者視点で高校生の皆さんが考える課題など、いろいろな話を聞けて今後の参考になった
サミットでは高校生が作った芸備線応援ソングも披露され、今後もSNSでの発信や、イベントを通して芸備線の利用を促すことにしているという。
(テレビ新広島)