ワークマンが新作の秋冬製品から、寒さや雨などをしのぐ機能性の「格付け」を始めた。「耐雨度」「防寒度」「ストレッチ度」「美脚度」を3~5段階で格付けして機能性のレベルをわかりやすく表示するという。土屋哲雄専務は、「我々の格付けを日本の同業者に普及して、最終的には世界的な標準にしたい」としている。
高機能ウェアを「格付け」で選びやすく
東京都内で26日、ワークマンが秋冬新製品発表会を開催し、今回、新たに機能の「格付け」を始めたことを発表した。

ワークマン・土屋哲雄専務:
機能性ウェアを買う人は、1個の機能の深さが必要。ワークマンは、機能性衣料に特化した全国唯一のチェーン店です。

「耐雨度」「防寒度」「ストレッチ度」、体形をカバーしてきれいなバランスで見られるレベルを示す「美脚度」をそれぞれ格付けする。

耐雨度は、「小雨」「本降り」「豪雨」と3つのグレードに分けられている。
もともと、約260種類のピクトグラムを商品タグに表示しているワークマンだが、「機能レベルが分かりにくい」などの声から、機能の格付けを始めたという。
例えば、「防寒度」に特化した世界初の商品が、その名も“着る断熱材”だ。

防寒度、耐雨度、ストレッチ度がすべて「Grade5」のXShelter断熱AEGISプレミアム防水防寒スーツ(9800円)を記者が試着した。
栁原弥玖記者:
-20℃でタオルがカチコチに凍るほどの寒さなのですが、ジャケットの中は、ぽかぽか温かく感じます。
しかも、このウェアは断熱性能だけでなく、軽量感があり、汗をかいても蒸れを逃がす性能があるのも特徴だ。
ワークマン・土屋哲雄専務:
機能の差とか特徴が分かるとたくさん買ってもらえる。我々の格付けを日本の同業者に普及して、最終的には世界的な標準にしたいと思っている。世界的にも機能性ウェアの専門店はない。世界に飛び出す武器こそが、機能格付けだと思っている。
新作に“原点回帰の戦略”
「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ワークマンの新しい試み、どうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
世界初の新しい素材というのも気になるし、強度を試せるというのも興味深いです。
ワークマンといえば、アパレル路線に大きく舵を切った印象がありますが、今回の新作には原点回帰の戦略があるように思います。その背景や狙いとするものが、直近の業績や株価からもうかがい知ることができるのではないかと感じています。
堤キャスター:
いま業績は、どのようになっているのでしょうか。
エコノミスト・崔真淑さん:
ワークマンの2024年3月期の単独決算は、2期連続の最終減益となっています。
特に「#ワークマン女子」の既存店の売上高は、前の時と比べて11.1%減と初めてマイナスとなり、さらに、祖業である職人向けの「ワークマン」の既存店の売上高も2.5%減少するなど、リピート客の獲得に苦戦している様子がみえます。
この背景にあるのがキャンプブームの終焉や成長が減速したことで、5年前に比べると株価も半分近くにまで低迷してきています。
堤キャスター:
業績の回復のための戦略がどうして原点回帰なのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
長期経営で最も重要なのは、既存顧客をどう守るかとも言われていて、つまり、ワークマンのファンがワークマンに求めものについてしっかり応えることが重要です。
なので、安くて機能性も抜群というワークマンの強みを、今回、改めてアピールしたいという狙いもあるのではないのでしょうか。
堤キャスター:
確かに、ワークマンといえば高い機能性というイメージはありますよね。
エコノミスト・崔真淑さん:
その機能性について、今回の秋冬の新作製品から格付けを開始しています。
これは雨や寒さなどの気候への対応や、着やすさにつながるストレッチ性などを、3段階から5段階で格付けして、顧客が製品を選びやすくしています。
これによって、「安さ」に定評があるワークマンならば、激しい雨にも耐えられる服と、ちょっとした雨をしのげるものと、2着購入することも考えられます。
こうした原点回帰の戦略が上手くいくと、業績の回復も期待できるのではないでしょうか。
堤キャスター:
機能性やデザイン、あるいは価格とのバランスなど、消費者の期待に応える商品が揃っていると、やはり足を運びたくなりますよね。そのような企業や店舗が増えていけばいいなと思います。
(「Live News α」8月26日放送分より)