■どうなる? 万博・子ども無料招待事業

大阪府内の子どもたちを、万博に無料で招待する事業。
準備が進む一方、引率する教員たちの不安は解消されていない。
事態を改善しようと、自ら声を上げた教員たちを取材した。
大阪府の子どもたちを、無料で万博に招待する事業で、どのように、子どもたちを安全に会場まで運ぶのか。
7日、発表されたのは、大阪メトロ中央線の「子ども専用列車」および、「子ども優先列車」という2つの案だ。
■「子ども専用列車」と「子ども優先列車」

「子ども専用列車」は、乗車駅を森ノ宮駅に限定。
一旦逆方面の長田駅まで進み、折り返した後は、夢洲までノンストップで運転する。
一方、「子ども優先列車」は、運行ルートは同じだが、乗車駅を森ノ宮駅に限定せず、中央線の、どの駅からも乗ることができますが、一般客は乗らないようにアナウンスする。
中井亮太朗・大阪メトロ交通ネットワーク部長:回送で空の電車に乗っていただけるということが、一番学校側にとっても乗車しやすい。
準備が進む一方、実際に子どもたちを引率する教員たちの不安は解消されていない。
■万博協会が学校向けの説明会を開催

万博協会の担当者:トイレについても、バリアフリートイレが各地に設置しておりますので、利用できますし、医療施設についても、診療所や休憩所がございますので、必要であればご利用いただく。
先月、万博協会は、校外学習として万博を訪れる全国の学校を対象に、説明会を開いた。
■引率する教師の不安は解消されず

大阪市立の中学校の教師、増田育子さん。
よりよい校外学習を目指す、教師たちのグループ、「おまかせHR研究会」に所属していて、無料招待事業についても、有意義な学びにしたいと考えているが…
大阪市立中学校の教師・増田育子さん:充実した学びもしたいんですけど、どうしてもこんだけ暑かったり、昼ごはんの(食べる場所の)こととか、説明が少なかったので、そこがちょっと心配で、安全に帰ってこれるかという面がちょっと不安ですね。
さらに、増田さんが懸念しているのは、校外学習の前に行う下見についてだ。
子どもたちの動線などを確認する下見は、大人数を安全に引率する上で、教育の現場では重要視されている。
増田さんの学校は、5月ごろの訪問を希望しているが、新学期が始まる4月以降は、多忙となることから、万博開幕前の3月には下見をしたいと考えている。
■開幕前の下見は不可能 代わりに動画を提供するというが…

しかし…
「工事期間中の会場内視察は、危険を伴うため、受け入れることができません」
万博協会は、工事を理由に、開幕前の下見は事実上不可能だと説明。
その代わり、会場内を撮影した動画を提供する方針だ。
増田育子さん:パビリオンの動画の説明では、下見としては不十分だと思います。トイレの数もそうだし、配置、洋式・和式とかまで障害ある子であれば、和式使えないので洋式だけ、もうちょっと言ったら、教員も一緒に入るので広めのトイレがいいとか、そういうところまで見たいので。
■「このままではいけない」教員たちが府議会を訪問

万博協会から納得する説明が得られなかったと感じた、増田さんたちおまかせHR研究会のメンバーは、大阪府議会の議員たちを訪ねた。
「下見は各校が希望する時期に行えること」など、自分たちの要望を聞いてもらうことにしたのだ。
大阪府立高校の教諭:それは(委託している)旅行会社に聞いてください、みたいなのがあって、それこそたらい回しじゃないんですけど。
立憲・野々上愛府議:分かる人連れてこいって言っていいですよ。これは教育事業としてやるんだから、大阪府教育庁が仕切り直さないといけない話だと思うんで。
議員たちは、万博へのスタンスを問わず、教員たちの訴えに理解を示していた。
■会派関係なく理解を示す議員たち

大阪維新の会・紀田馨府議:不安に感じている方がいるのは、しっかり受け止めないといけないですし、不安を解消していただけるような環境をつくっていくのも、安心して多くの方に来ていただくためにも大事。
公明・藤村昌隆府議:どの会派も、このことは大変大事で、子どもたちに安全に万博に行ってもらいたい。
増田さんたちは今後、すべての会派の議員と意見交換し、府議会に請願という形で声を届けることにしている。
大阪市立中学校教諭・増田育子さん:ここから改善というか、まだ言っても半年以上あるので。万博協会も府も一緒にいろんなことを開示してほしいし、いろんなことを一緒に考えてほしいと思います。