大阪・関西万博の会場北側に整備される「IR=カジノを含む統合型リゾート」について、博覧会協会の幹部が大阪府市に会期中の工事中断を求めていることが分かった。

■吉村知事「万博を成功させるのは当たり前。IRも重要な事業」

大阪府 吉村洋文知事
大阪府 吉村洋文知事
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大阪府 吉村洋文知事:万博を成功させるのは当たり前のこと。IRも重要な事業なので、なんとか着地点を見出せないかと議論している最中です。

吉村知事がこう話したのは、大阪府と大阪市が“重要事業”と位置付ける万博とIRをめぐる工事について。

万博会場となる夢洲では、2030年に開業を目指すIRの液状化対策工事が進められていて、万博が開幕する来年の春以降には、建物本体の工事が始まる予定だ。大阪府市は両方の工事が成立するよう、交通アクセスや騒音問題などについて調整を続けていた。

■博覧会協会・十倉会長が吉村知事にIR工事中断求める

BIE ケルケンツェス事務局長
BIE ケルケンツェス事務局長

しかし、関係者への取材で、BIE=博覧会国際事務局のケルケンツェス事務局長や、博覧会協会の十倉会長などが、IR工事による景観の悪化や騒音について懸念を示していることが判明。

7月下旬、十倉会長が大阪府の吉村知事に万博期間中のIR工事を中断するよう求めるも、折り合いがつかなかったということだ。

大阪府 吉村洋文知事:IR事業者から聞いている中身からすると、開業時期に大きく影響するだけでなく、色んな工事を一回ばらすとなると事業費にも影響が出てくる。それでも強い意見もあるので、何とか最大限の措置が取れないかということを事業者に投げかけて、最初の回答を待っている状況。

■「工事が重なるのはわかっていた話『なぜ今?』」

この状況についてIR事業者は…

IR事業者の関係者:万博とIRの工事が重なるのは元から分かっていた話で、『なぜ今?』というのが本音です。驚いているし、心配になります。

また、大阪府市とIR事業者が締結した「実施協定」には、2026年9月までに土地の整備などが整わなければ事業者が違約金なしで撤退できる「解除権」が盛り込まれている。

大阪府市は、慎重な対応が求められていて、今週中にもIR事業者と今後の対応を協議する予定です。

■「大阪府市と博覧会協会の“調整不足”に尽きる」

万博の開催も、IRの工事も前から決まっていたことだ。なぜ今のタイミングで問題になっているのだろうか。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:5日、吉村知事の会見がありましたが、(博覧会協会会長などが)IR工事がここまで並行してやるということを把握していなかったと言ったんです。であればなぜもう少し早く伝えていなかったのかと質問を投げかけますと、『会議がフルオープンでなされているので、もちろん報道でそれをご存じでいらっしゃるでしょうから、言うまでもないと思っていた』という話をされたそうです。でも万博とIRは同じ夢州で同時に工事をやることも、もともと言われていることなので。もっと綿密に連携したらよかったんじゃないか。大阪府市と博覧会協会の“調整不足”に尽きるのではないかな、本当に初歩的な問題なんだと思います。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:知事としては中断を強く求めているんですけれども、あくまでも知事の立場で言えることは“任意のお願い”なんです。もしかすると事業者側が国から許可を得ているものなのでと無視をすることもあり得る。先行きが見えない状況になりかねません。

開幕まで8カ月余りとなっている。吉村知事は難しいかじ取りを迫られることになる。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年8月5日放送)

関西テレビ
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