広島県尾道市で親子2人を複数回にわたりはねたとして逮捕された40歳の男。一方、男の自宅では妻が血を流して倒れており、死亡が確認された。
閑静な住宅街で何があったのか。Mr.サンデーは、被害に遭い、通報した54歳の女性や男の近隣住民を取材。事件当時の状況や、男に起きていたというある“異変”がみえてきた。
数分間に起きた2つの事件
事件は広島県尾道市向島の閑静な住宅街で起こった。2日午前5時半ごろ、54歳の女性から「母が車にひかれた。自分もはねられた」と通報があった。80歳の母親と54歳の娘が、自宅の敷地に突然侵入してきた車に何度もはねられたという。
車に乗っていた男は、3日に送検された無職の沖本幸俊容疑者（40）。殺人未遂で現行犯逮捕された。
しかし、事件はこれだけではなかった。車で親子を襲った約5分前の2日午前5時25分頃、現場から120mほど離れた沖本容疑者の自宅から「妻を傷つけた」と通報があったのだ。
通報したのは沖本容疑者本人。自宅では妻の直子さん（42）が血を流して倒れていた。体には刃物で切りつけられたような傷が複数箇所残っていて、病院に搬送されたが、死亡が確認された。
自宅からは凶器に使ったとみられる刃物が見つかっている。沖本容疑者は殺害をほのめかす供述を始めているという。
たった数分間に起きた2つの事件。一体何があったのか？
トラブルなく…「なぜ巻き込まれたのか」
通報後、車で自宅を出たとみられる沖本容疑者。事件現場は、容疑者の自宅から約100m先を左に入った突き当たりにある。この家の敷地内で、住人の親子を車で何度もはねたというのだ。
80歳の母親は重傷。54歳の娘もけがをした。砂地にはタイヤの痕がくっきりと残り、ブロック塀が崩れ、下に落ちていた。
Mr.サンデーは、被害に遭い、通報した54歳の女性を取材した。
車ではねられた女性（54）：
家の外に出た時には、すでに母が倒れていたので、どういう状況でひかれたのかは分かりません。
被害者の孫も、その現場を目撃していた。
車ではねられた女性（80）の孫：
おばあちゃんがひかれて、お母さんが駆けつけて（沖本容疑者に）「何しとるんですか」って言ったら、おばあちゃんと一緒にもう一回ひかれて。男の人（沖本容疑者）も怒っている状態でよくわからないけど、言い合いになりました。その間、男は車から降りてきませんでした。
凶行の理由は何だったのか。警察の調べに対し、沖本容疑者は「目の前にいた女性を殺してやろうと思った」と供述しているが、はねられた80歳の女性の夫は、その行動に首をかしげる。
ディレクター：
男（沖本容疑者）はご近所の方ですか？
車ではねられた女性（80）の夫：
すぐそこの家。車でいつも帰ってきて。
ディレクター：
なんでわざわざこんなとこまで車は入ってきたんですか？
車ではねられた女性（80）の夫：
分からん。普通はね、うちの駐車場だけに入ってくることないのにね、なんで……。
沖本容疑者とご近所としての面識はあるものの、トラブルなどはなかったという。被害に遭った54歳の娘も、「母と容疑者の間にトラブルはなく、私とも何もありません。なぜ巻き込まれたのか、逆に知りたいです」と話している。
“仲の良い家族”に2年前から“異変”
近所の住民は、沖本容疑者の人柄をこう語る。
現場近くに住む人A：
本当優しそうなご主人だったんで、本当に信じられないです。
子供2人の4人家族だという沖本容疑者。
現場近くに住む人B：
感じのいい人だった。物腰もやわらかいし感じもいいし。子供の声がよくきゃっきゃ言って、にぎやかそうですね。
以前は、仲の良い家族に見えていたという一家。しかし、近所の住民は、2年ほど前からある異変を感じていたという。
ディレクター：
夫婦はお勤めされてる形だった？
現場近くに住む人C：
いや旦那さん（沖本容疑者）の方は。なんか家におられたみたいな感じ。
現場近くに住む人D：
ずっと（家に）おった。どれくらい前かな？
現場近くに住む人C：
2年になるかもしれんね。
2年ほど前に仕事を辞めたとみられる沖本容疑者。別の近隣住民も…。
現場近くに住む人E：
娘と洗濯物が全然無いねということもあったんですよ。奥さん出ていっちゃったのかなって感じ。
ディレクター：
それいつぐらい？
現場近くに住む人E：
2年ぐらいになるかな。
警察によると、3年前と2024年5月の2回、沖本容疑者の妻・直子さんから家庭内のトラブルに関して、相談を受けていたという。
警察は殺人の疑いで容疑者の自宅を現場検証しているが、詳しいことはまだ謎のままだ。
（「Mr.サンデー」8月4日放送より）
