イベントの遊覧飛行を終え佐賀空港に向かう途中でヘリコプター1機が墜落。操縦士と整備士の2人が死亡した。国の事故調査委員会による現地調査の結果、機体は空中で3つに分離し墜落したとみられている。

佐賀空港に向かうヘリが墜落

7月28日午後4時20分頃、福岡県柳川市昭南町の田んぼにヘリコプター1機が墜落し2人が死亡した。

ヘリコプター墜落現場(7月28日午後4時20分頃・福岡県柳川市)
ヘリコプター墜落現場(7月28日午後4時20分頃・福岡県柳川市)
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墜落したのは佐賀市川副町のエス・ジー・シー佐賀航空のヘリコプター。エス・ジー・シー佐賀航空によると、事故にあったヘリコプターはロビンソン式R44型と呼ばれる4人乗りの小型機で、50歳の操縦士と70歳の整備士の2人が乗っていた。

事故3時間ほど前に大分県日田市を飛行する機体
事故3時間ほど前に大分県日田市を飛行する機体

7月27日と28日に大分県日田市で開かれていた自動車レースのイベントで遊覧飛行を行い、イベントを終えて佐賀空港に戻る途中、事故にあったとみられている。

無線が途絶え…黒い煙を発見

佐賀航空によると、7月28日は午後4時頃、佐賀空港へ向けて飛行を始め、「空港から5キロほど離れた最終進入経路に到達した」との無線連絡を最後に無線に応じなくなり、空港東側で黒い煙が出ているのを空港の関係者が発見したという。

無線連絡が途絶え空港関係者が黒い煙を発見したという
無線連絡が途絶え空港関係者が黒い煙を発見したという

墜落事故で死亡したのは、佐賀市東与賀町在住でエス・ジー・シー佐賀航空の操縦士(50)と佐賀市大財の整備士(70)の2人。

佐賀航空によると、操縦士は2022年4月に入社し、総飛行時間は1893時間で、墜落した機体と同型機を714時間操縦していたという。また、整備士は8年前に入社していて整備士歴は46年だった。

機体が空中で3つに分離し墜落か

事故を受けて、翌日の7月29日午後、運輸安全委員会の事故調査官2人が原因を調査するため現地に入った。

畑に突き刺さった白い尾翼。運輸安全委員会の調査官や警察などの関係者が墜落現場の調査を行った。

事故調査官によると、墜落したヘリコプターは「本体」、後部回転翼「テールローター」、その2つをつなぐ「テールブーム」の3つに分離していて、機体後部の部品から進行方向に沿うように約200メートルの範囲に落下していた。

本体が炎上し完全に損傷
本体が炎上し完全に損傷

また、機体は空中で分離してしまったと推測されるが、本体が炎上し完全に損傷していて、事故の状況を判断するのが難しいと事故調査官は説明した。

運輸安全委員会事故調査官 西川直宏主管調査官
運輸安全委員会事故調査官 西川直宏主管調査官

運輸安全委員会事故調査官 西川直宏主管調査官:
機体が分離していますので、それに至った経緯というところを確認していくことが一番重要かと思っています

警察が家宅捜索

そして、事故から2日後の7月30日午後3時頃、佐賀市川副町のエス・ジー・シー佐賀航空にトラックが入っていった。

ビニールシートに包まれトラックで運ばれたのは墜落した機体の一部とみられる。国の運輸安全委員会の事故調査官2人は、運び込んだ機体を調べるとともに佐賀航空への聴き取りを行った。

国の事故調査委員会は7月31日昼頃までに佐賀航空での調査を終えた。
一方、福岡県警は業務上過失致死の疑いで会社を家宅捜索した。

過去にも遊覧飛行帰りに墜落事故

墜落した機体は2008年の製造で、これまでに2900時間あまり飛行していたという。

佐賀航空は、「事故調査に全面的に協力するとともに、二度とこのような悲しい事故が起こることが無いよう社員一丸となって取り組む」とコメントしている。

佐賀航空のヘリコプターをめぐっては、2004年にも遊覧飛行帰りに有明海に墜落し、操縦士と会社の関係者3人が死亡している。

(サガテレビ)

サガテレビ
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