地域の消防や防災を担う消防団員が全国的に不足するなか、長崎県東彼杵郡波佐見町ではインドネシア出身の技能実習生2人が消防団に加わった。
言葉や文化の違いを越え、「何かあればすぐに手伝う」と意気込む2人の姿が、人口減少に悩む地域に新たな力をもたらしている。
初の制服に「恥ずかしいです」 でも似合ってる
インドネシアからの技能実習生であるデニ・サプトラさん(26)とアーマド・ウバイディッラーさん(25)が、波佐見町の消防団に仲間入りした。
制服や装備を身に着けるのも初めてで、先輩団員から「祖国のお父さん、お母さんに写真を撮って送って」と声をかけられる場面もあった。
2人が入団したのは、波佐見町に9つある消防団のうちの第3分団だ。
外国人を迎えるのは初めてだが、1年半ぶりの新人の入団に、先輩団員も笑顔を見せた。
アニメが好きだから日本へ
デニさんとウバイさんは、共に町内の上山建設に勤務している。
もともと日本に興味があった2人は、インドネシアの日本語学校で半年間学んだあと、2024年5月に波佐見町にやってきた。
デニさんは「アニメが好きだから、日本で働きたかった」と語り、ウバイさんは「友達から日本はきれいで仕事も真面目、文化もよいと聞いていたから勉強したかった」と話す。
働き始めて2年。建設の仕事にも慣れてきた2人を見て、上司の中尾康成管理部長は消防団に誘うことにした。
「真面目に頑張ってくれている。冗談交じりの笑い話もできるようなコミュニケーションが取れるので、仕事だけでなく消防団の活動でも地域に溶け込んでしてくれるかなと思って声をかけた」と中尾さんは語る。
定員を100人近く下回る深刻な不足
波佐見町の人口は、1995年は約1万5600人だったが、2025年には約1万3700人と、この30年で約1割減少した。
それに伴い消防団員のなり手不足が深刻になっていて、330人の定員を100人近く下回っている。
こうした状況を受け、波佐見町は町内にいる約100人の外国人居住者に消防団への参加を積極的に呼びかけ、今回初めて実現した。
県全体の消防団員は2025年4月1日時点で1万6666人で、定員に対して3000人以上少ない状況だ。
県内では波佐見町以外にも、大村市や諫早市などで外国人の消防団員が活躍している。
練習したらできる、必ず
訓練は毎月1〜2回行われていて、この日はデニさんとウバイさんに器具の使い方などを教えた。
外国籍の2人は消火活動に直接携わることはできないが、後方支援を担当するために一通りの仕組みを覚える必要がある。
放水訓練では「水の勢いが強い。さっき80パーセントの力を入れた。消防団員の人は強い」とウバイさんが驚いた様子を見せた。
デニさんは「初めてだからちょっと緊張した。おもしろいけどちょっと怖い」と率直に話した。
それでもウバイさんは「火事になったときは緊張すると思う。でもたぶん練習したらできる」と前向きな姿勢を示し、デニさんも「力を貸します、私たちが」と力強く言葉を続けた。
人口が減るなか、外国人の加入が地域の消防や防災を支える消防団の新たな力となっている。
(テレビ長崎)

