6月の議会で不適切発言をして市の内外から批判が高まっている新潟県上越市の中川幹太市長。自身の給与カットにより幕引きを図りたい考えだったが、市議会はこの条例案を否決し、代わりに市長に対する辞職勧告決議案を可決した。市議会からの辞職勧告を受け、中川市長は「非常に重く受け止めている」と答え、進退については「後日お伝えする」と述べるに留めた。
不適切発言で“給与削減”の条例案提出
「自らを強く戒めるため給料の全額を5カ月間減額するものとしたところであります」
市議会の臨時会で議題にあがったのは、失言を重ねる中川市長が自ら提出した給料の5カ月分を全額カットする条例案だ。

この問題を巡り、中川市長は6月18日、議会での企業誘致に関する答弁の中で「工場では高校卒業程度のレベルの人が働いている。頭のいい人だけが来るわけではない」などと発言。
去年・一昨年にも失言…辞職は否定
中川市長の失言は今回だけではなく、2022年には、商店街の将来を考える会議で上越市にある直江津商店街について「直江津の商店街はない」と発言し、商店街関係者から抗議を受け、謝罪。2023年には、市内にある私立高校2校に関して不適切な発言をするなどこれまでも失言を繰り返してきた。

今回の発言については当該の工場を訪れ、直接謝罪したという中川市長は「表現方法が間違っていたということでこれからは改めていきたい。信頼関係を回復していくように最大限力を尽くしていきたい」と話したうえで、進退については「職責を全うしたい」と述べていた。
「市民の理解は得られるのか」厳しい声相次ぐ
そして、自身の処分として議会に提出したのが、給与の5カ月全額カットの条例案だ。

しかし、給与カットで幕引きを図ろうとする市長に対し、議会からは「5カ月カットで辞職を否定をして、そのようなことで市民の理解は本当に得られるのか」「これを議会がもし認めてしまえば、議会はそれで市長の責任は果たしたということに等しいことになる」など厳しい声が相次いだ。
“給与削減案”を全会一致で否決…“辞職勧告”決議案可決
こうした意見を受けても辞職は否定し続けた中川市長だが、自身の提出した条例案は全会一致で否決。さらに議会は、市長に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した。

市議会から辞職勧告を突きつけられた中川市長は「非常に重く受け止めている」と神妙な面持ちで答えた。進退について問われると、「少し時間をいただいて後日、私の考えについて皆さんにお伝えしたい」と述べた。

議会の決議に法的拘束力はないが、今後の市政運営に大きな影響が出ることが予想される中、自身の処分案が否決された中川市長はどのように事態を収拾するのか、その決断が注目される。
【上越市中川幹太市長プロフィール】(上越市HPより)
1975年6月20日生まれ。1998年広島大学工学部卒業、2008年4月上越市議会議員、2012年4月上越市議会議員(2期)、2021年11月9日上越市長就任
(NST新潟総合テレビ)