能登地区の自治体のトップに今の課題や復興に向けた道筋などを聞くシリーズ企画。最終回は七尾市の茶谷義隆市長に聞く。
甚大な被害を受けた七尾市
【七尾市の現状】
震度6強を観測した七尾市では災害関連死3人を含む8人が死亡し、住宅への被害は1万5000棟余りに上った。仮設住宅はこれまでに473戸が完成し、残る33戸は8月末までに完成する予定だ。公費解体は2499件の申請に対し、解体に着手したのは382件、完了したのは98件にとどまっている。
公費解体の加速化目指す
ーー地震から半年が経って、今の七尾市の課題は何だと考えるか?
発災から半年が過ぎたが、避難所に50名弱の方が避難されている。そういう方が一日も早く仮設住宅に入って日常生活を取り戻すことが重要。その後再建されたい方は災害公営住宅に入って、本当の日常生活を取り戻していただく、それが重要だと考えている。一方で、能登のシンボルとも言える和倉温泉が一日も早く復旧すること。県や国にも要望し一日も早い復旧を目指している。またようやく公費解体も進みだしたので、これを加速化していくことがこれからの課題。

ーー公費解体のスピード感についてはどのように考えているか?
公費解体は税金を使って行う解体。様々な法的な手続きを踏まなければいけない。り災証明の判定があったり、法的な要件を満たさなければいけない。その後コンサルの見積もりがあったり、事業者の設定や所有者との打ち合わせが必要になってくる。災害廃棄物を処理するための仮置き場の設置も重要になってくる。それらが全て整ったうえで解体が進むので、少し時間がかかると思っている。スピード感については職員も事業者もまだまだ頑張れると思っているので、あらゆる手段を講じてスピード化を図っていきたい。早くできるという意味では自費解体という制度もあるので、その制度の周知もしていきたいと考えている。

ーーどのような形で公費解体の加速化を図っていくか?
解体の班を増やした。先週まで27班だったものが、今57班と30班増やした。7月中には70班。8月中には100班を目指していきたい。
和倉温泉の護岸工事
ーー和倉温泉について課題となっていることは?
海の近くに旅館が立っているので、護岸がかなりダメージを受けている。その改修が非常に重要になっている。護岸の改修と旅館の復旧、それが平行して行われていく。そのために相当な時間を要するのではないかと考えている。

ーー和倉温泉の復興に向けて支援が必要なのは、どんなところか?
護岸も旅館が持っている民有の護岸があるので、それを一旦市に帰属させたうえで国の方で一体的に護岸工事を進めていくことが一番早い方法だと思っている。旅館は一日も早く営業を再開させたいという思いが強いと思うので、国や県、市が一体となって取り組んでいきたい。
復興へ最後まで責任持つ
ーー観光という面で、七尾市はどういう状況にあるのか?
今はまだ災害復旧に向けた事業者の宿泊が多い状況だが、これから少しずつ観光客も増えてくるのではないか。そういうフェーズに変わっていく中で、様々な応援割も使えればいいと考えている。
ーー復興した七尾市の未来予想図は?
能登、七尾は自然豊かなところで、食もおいしい。祭りを始め歴史文化にあふれているところなので、この能登、七尾らしい町にしていきたい。今回の災害で全国のボランティアや自治体の応援もあった。国内はもとより、海外からもたくさんの方が能登や七尾の魅力に触れていただけるような、楽しい町にしていきたいと考えている。
ーー秋に任期満了に伴う七尾市長選も行われるが、市長選への考えは?
現在は復興に全力を尽くしたいと考えている。市民のみなさんが一日も早く日常生活を取り戻すことに注力していきたい。復旧、復興に向けて最後まで責任を持つことが、私の意思。
(石川テレビ)