小中学校の給食費を無償化にする自治体が全国で広がっている。しかし、新潟県内で無償化している自治体はわずか4市町村。なぜ、給食費の完全無償化が進まないのか…新潟市で7月、無償化を求め、市民団体が集めた署名を副市長などに手渡した。
全国で広がる給食費無償化
7月8日、新潟市の野島副市長と夏目教育長に手渡されたのは、市民団体が集めた給食費の無償化を求める9300人あまりの署名だ。これまで2度提出したものと合わせると、3万2000筆を超えた。

学校給食の無償化を実現する新潟市民の会の鈴木知子共同代表は「子どもの成長は一年一年待てない。一日も早くということで無償化を求めている」と提出に至った背景について説明する。
文科省の調査では、給食費を完全無償化する自治体は全国で約3割に広がっている一方、新潟県内では30市町村のうち、妙高市・阿賀町・湯沢町・弥彦村の4市町村のみで、給食費の無償化が進んでいない現状がある。
“膨大な事業費”がネックに
新潟市が完全無償化に踏み切れない理由について、夏目教育長は「人口が多く、事業費が膨大になるというところが一番のネック」と話す。
2021年は小学校で年間5万4000円、中学校で年間6万5700円だった1人当たりの新潟市の給食費は、物価高騰の影響で今年は小学校で6万1000円、中学校で7万2500円に。
3年前と比べ、6800円から7000円増えている。

この給食費を新潟市が完全無償化する場合、36億円の財源が必要になるため、国の支援なしに実現することは難しいのが現状だ。
家庭の負担は増「高騰分だけでも…」
ただ、家庭での負担も確実に増えている現状もある。
鈴木共同代表は「物価高騰分だけでも、とにかく給食費を上げないでくださいという声が圧倒的。財政的な問題があるのであれば、まずは物価高騰分。次は段階的にというふうに話合っていく」と話す。

新潟市は全国一律の無償化が望ましいとして、6月に内閣府へ方向性を示すよう要望したという。
(NST新潟総合テレビ)