富士山にいよいよ本格的な夏山シーズン到来した。
富士山の静岡県側では7月10日、実質無料の3ルートが山開きを迎え、多くの登山客が訪れた。静岡県側では登山計画などを事前に登録するシステムを導入しているが、入山時間の制限がないため“弾丸登山”のリスクが残る。

須走・富士宮・御殿場の静岡県側3ルートが開山

霊峰の頂を目指す多くの登山客の中で、取材班が遭遇したのはチェコから来たという2人組。
半袖・半ズボンの姿を見た係員は、2人にすぐに声をかけた。

半袖・半ズボン姿の2人組に係員が装備などを確認
半袖・半ズボン姿の2人組に係員が装備などを確認
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係員:
雨具は持っていますか?

チェコからきたという2人組:
はい、持っています。

登山道では、本格的な装備を持たない軽装の外国人観光客の姿も見られた。

10日に山開きを迎えた富士山の静岡県側ルートは、須走・富士宮・御殿場の3つ。2024年から静岡県は、登山計画や山小屋宿泊の有無を事前登録するシステムの運用を開始した。

事前登録を済ませた登山客は、送られてきたQRコードと引き換えにリストバンドを受け取り、実質無料で山頂を目指すことができる。事前登録について、登山客からは「めんどくさい。 でも、しょうがないけどね。ある程度慣れだと思う」という声が聞かれた。

一方、一足早く7月1日に山開きした山梨県側の吉田ルートでは、登山客数に制限を設け、通行料金として一人2000円を徴収している。
これに対し、静岡県側は山梨県側と同じく、富士山の保全金として1000円の負担を求めているが、これはあくまで任意。静岡県側は人数制限もないことから登山客にとってはより選びやすいともいえる。

保全金1000円は任意
保全金1000円は任意

静岡県側の登山客は、「あっち(山梨県)側の方が混むイメージがあったので、こっち(静岡県側)だったら比較的空いてるのかなっていうのもあって、こっちにしたというのがあります」と話す。

入山時間の制限なく“弾丸登山”のリスク残る

2024年から事前登録システムによる入山管理を導入した目的の一つは、危険な弾丸登山を防ぐことにある。

薄手スウェットにスニーカーという軽装備で休憩する登山者
薄手スウェットにスニーカーという軽装備で休憩する登山者

2023年8月に撮影された9号目にある山小屋周辺の様子をみると、夜11時過ぎにも関わらず、薄手のスウェットにスニーカーと、十分とはとても言えない装備の登山者の姿もあった。

山梨県側のルートでは2024年から入山時間の制限も始まったが、静岡県側にはないため弾丸登山のリスクは残ったままだ。命にかかわる富士登山には万全の準備と装備が求められている。

山頂の剣ヶ峰付近で登山者滑落か

こうしたなか、10日午後2時頃、山頂の剣ヶ峰付近で登山者から「人が落下している」と110番通報があった。成人男性が滑落したとみられ、意識がない模様で、9合目に常駐している静岡県警の山岳遭難救助隊が現場に向かった。

悪天候のためヘリでの救助はできないということで、現在、どうやって搬送するか検討が進められている。
(「イット!」7月10日放送より)

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