まもなく夏休みシーズン突入するが、遺跡巡りや屋台で本場の味を手頃な価格で楽しめる人気の観光地・タイでは今、日本人を狙った「お金見せて詐欺」が急増している。

詐欺犯に狙われた日本人男性は「すごくフランクな感じで、ハローみたいな感じで声をかけてきた。日本のお金を見せてほしいと言われた」と当時の状況を語った。

“マジシャンのような手つき”でお札を盗み取ったという“詐欺犯”。一体、どんな手口だったのだろうか?

「お金見せて」“マジシャンのような手つき”で窃盗

“ほほ笑みの国”タイで相次ぐ「お金見せて詐欺」で狙われたのは、日本人観光客だった。

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6月、首都バンコクの中心部にある繁華街で男女2人組に「日本円を見せて」と言われ、日本人観光客が約5万7000円をだまし取られる被害に遭った。

詐欺の手口は、道ばたで突然「ドバイから来た」という中東系の男女が「日本のお札を見せてほしい」と声をかけてきたという。

英語や片言の日本語で話しかけてくる男女に、日本人が財布を出してお札を渡すと、なぜかパラパラと枚数を数え始める。

そして男女は、何事もなかったかのように、日本人観光客にお札を返し、その場を立ち去って行った。

しかし実は、詐欺犯は、お札を数えるふりをして“マジシャンのような手つき”で盗み取っていたのだ。被害に遭った日本人観光客は、後になって、お札が抜き取られていたことに気づいたという。

年末年始にタイを訪れた50代の男性に話しかけてきたのも“中東系の男女”だった。

詐欺犯に狙われた日本人男性(50代):
瞬間にこいつやばいやつだと思った。たぶんこいつは詐欺師だろうなと。「お金を見せて」と言われた瞬間に思った。

さらに4月に、バンコク市内を観光していた40代の男性に声を掛けてきたのは、中東系の男とふたりの子供だった。

詐欺犯に狙われた日本人男性(40代):
一番びっくりしたのが、一人ではなく家族だと思うが、娘が2人いたのは覚えている。(男が)来月に日本に行くから、日本のお金を見せてほしいと言われた。

番組が取材した2人の観光客は、いずれも途中で詐欺に気づき、被害には遭わなかった。

次は“新紙幣”を狙った詐欺が…?

被害件数は13件で、被害額は約26万円に及んでいる。

タイを訪れている日本人観光客に話を聞くと「日本人はやさしいから(札を)見せると思う。こわい」「外に出るときは、最低限の金額しか持っていかないとか心がけている」といった不安の声が聞かれた。

専門家は詐欺犯が最近、発行された“新紙幣”に目をつけているのではないかと指摘する。

国際的な詐欺に詳しい松隈貴史弁護士:
(新紙幣は)非常に自然な話なので、警戒心が緩んでしまうところを(詐欺犯が)突いてくる危険性は高いと思う。

在タイ日本大使館は、「新紙幣が発行されたことで詐欺が増えることが予想される」とした上で「把握できている数は氷山の一角。観光先などで見知らぬ相手から声をかけられても相手にせず、速やかに立ち去ってください」と注意を呼びかけている。
(「イット!」7月9日放送より)

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