中学校教諭の時間外労働や、それに伴う長時間労働が問題視されている。忙しい先生たちの負担を減らすための一つの選択が、「デジタル採点」だ。宮崎市では25の中学校がAIを活用したデジタル採点システムを導入した。効果は出ているのか?正確性はどうなのか?

デジタル化で教諭の負担軽減へ

宮崎県教育委員会によると、2023年度、1カ月の時間外労働が45時間以上となったのは中学校教諭の46%に上り、このうち10.8%は80時間を超えている。

こうした長時間労働が問題となる中、宮崎市の中学校では、テストの採点がデジタル化された。

テストの採点は、教諭の長時間労働の原因の一つになっている。

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宮崎市では採点業務を簡略化し負担軽減につなげようと、2024年度、約380万円をかけて市内の公立中学校25校でAIを活用したデジタル採点システムを導入した。

システムが導入された学校では

システムが導入された本郷中学校では、早速採点システムを用いて採点を行っていた。

デジタル採点システムでは、解答用紙をコピー機でスキャンしてデータ化し、専用のソフトに取り込んでパソコン上で採点を行う。

記号問題や数式などはAIが自動的に採点。記述問題も複数の生徒の解答を同時に表示することで、効率良く採点することができ、採点に合わせて合計点も自動で計算される。

教諭の反応は

英語 吉田侑平教諭:
今までだったら1クラス2時間くらいはかかっていたと思うが、デジタル採点になって半分くらい、1時間あればつけられる。特に、部活動の時間に優先して使うことができるので非常にありがたいと思っている。

理科 河野茂子教諭:
かなり早く採点が終わるのでとても楽。テストの日にかなり遅くまで残って採点していたので、それがなくなったのがだいぶ楽にはなった。

一方で、こんな意見も。

保健体育 谷村みつる教諭:
機械でも間違っているところもあって、それを確認する作業もあるので、そこは二度手間だと思う。トータルで言うと早いとは感じた。自分も手作業での丸付けは早いと思っているが、やっぱり疲れます。

デジタル採点、使うか使わないかは、それぞれの判断に委ねられるようだ。

本郷中学校の吉村謙二教頭は、「パソコンに対して苦手意識を持っている先生方は、やはり今後どうしていくのかひとつの課題。1回だけでは慣れず、あまり良さを感じない先生もいると思うので、できれば2回、3回と使ってもらう。そして、それをサポートしていける体制ができると良いと思っている」と語った。

宮崎市では昨年度、本郷中学校を含む市内5校をモデル校に指定し、実証実験を実施。デジタル採点の導入で作業時間は従来の128分から77分になった。

パソコンに対する苦手意識には個人差がある。宮崎市教育委員会では、より多くの教諭が利用できるようサポート体制を充実させ、業務の効率化につなげたい考えだ。

(テレビ宮崎)

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