上皇ご夫妻は5月28日、栃木・日光市を訪問されました。日光は戦時中、上皇さまが疎開されていた思い出の場所です。

疎開中、滞在された「田母沢御用邸」。今は記念公園になっています。

色とりどりの花が咲く庭を散策されたご夫妻。上皇さまは、疎開中に過ごした部屋を懐かしそうに見上げられました。

美智子さまが「あの2階が…」と話されると、上皇さまは「あれの2階ね。あそこで勉強したわけ、昔ね」と懐かしそうに指で示されました。
幼少の頃から親しまれた「田母沢御用邸」
池におもちゃのヨットを浮かべてもらう、4歳の頃の上皇さま。田母沢御用邸は、夏の静養先として幼い頃から親しんでこられた場所です。

太平洋戦争の戦況悪化を受け、昭和19年7月、上皇さまは日光に疎開されました。学習院初等科5年生の同級生らとともに1年間を過ごされたのです。

終戦後、廃止された田母沢御用邸。思い出の場所を戦後、上皇さまが訪ねられたのは昭和62年。42年ぶりの訪問でした。

当時の面影を残す建物の前で、疎開生活について美智子さまに「2階ね。その向こう側に住んでいたの。あの2階の下あたりが食堂でしたね」と説明されていました。
思い出のイチイの木
平成8年、長女の黒田清子さんとともに御用邸を再び訪問されたご夫妻。上皇さまは、部屋から見えたイチイの木が思い出に残っていると話されました。

平成13年、ご夫妻はその木がかつてあった場所に、同じイチイの苗木を植樹されました。

そして今回の訪問で、大きく成長したイチイの木をご覧になりました。

「3メートル50センチあります」と説明を受けられると、上皇さまは「ずいぶん伸びてるね」と述べられ、美智子さまも「ずいぶん高い」と驚かれたご様子でした。
疎開先を辿る旅は9年前に計画されましたが、これまで3回災害などのために延期され、今回ようやく実現しました。

ご夫妻は4日間の旅で戦時を偲び、思い出の場所をゆっくりと巡られました。
(「皇室ご一家」6月23日放送)