ドライバーなしでの「自動運転」を全国で推進していこうという政府の新たな方針が明らかになった。「2024年問題」など運転手不足が叫ばれる中、2025年度にすべての都道府県で1年を通じて自動運転バスの運行など実施する計画だ。キーワードとなるのが、特定の条件のもとで人を運転席に乗せずに行う、完全な自動運転技術「レベル4」だ。

「完全自動運転」は“障害物”にも対応

イット!取材班が向かったのは、「レベル4」の自動運転バスの運行を予定している、東京・大田区の「羽田イノベーションシティ」。

完全自動運転では、ドライバーが乗ることなく運転が可能だ。ルートやスピードは事前に設定したものに沿って運転される。

この記事の画像(12枚)

イット!のディレクターが実際に「レベル4」の実証実験を行っているバスに乗車してみると、バスはカーブもスムーズに走行し、目の前に障害物が現れた際にも完璧によけることができた。また、車内にあるモニターには、車両が走るルートのほか、建物の壁などセンサーが読み取っているものが表示されるという。

羽田イノベーションシティでは、「レベル4」の自動運転バスの運行開始は、早ければ6月中を予定しているという。

「自動運転」レベルは5段階

自動運転の「レベル」のカテゴリーは5段階ある。

「レベル1」は運転支援。自動ブレーキや車線を維持して、前の車に付いて走ることができる機能などだ。続く「レベル2」では、高速道路で遅い車を自動で追い越したり、合流を自動で行うことが可能になる。

そして「レベル3」は条件付きでの自動運転。全ての操作は自動だが、緊急時にはドライバーが対応する必要があるため運転席に人がいることが必要だ。それが「レベル4」になると、エリアなど特定の条件のもとで「完全自動運転」になり、ドライバーが運転席にいなくてもよくなるのだ。「自動運転ラボ」運営者の下山哲平さんは、「いわゆる一般的にいう完全自動運転と呼ばれる領域でして、運転席に人がいなくても良いですし、極端な話、車中無人でも良いよということです」と説明する。

現在、国内で「レベル4」の事業を取り入れているのは、福井県・永平寺町の1カ所のみ。永平寺町では、自動運転の運行状況は取り付けられたカメラで、人間がモニタリングしている。地元の大学生や高齢者がアルバイトで座ることもあるという。

自動運転車両の運行を行う「ZENコネクト」の平本師史さんは、「こちらに座るのは、特定自動運行主任者という職名になるんですけれども、運転免許のない人でもここには座れるようになりました。1人が3台を同時に動かせるということで、人員削減になるということがメリットです」と説明する。

一方で、気になるのは安全面だ。自動運転技術はどこまで進化しているのか。

「自動運転ラボ」の下山さんは、「事故を起こすか起こさないかっていう2択で回答すると、当然起きていきます。理屈上は発生確率は人間が運転するよりも減っていくはずですので、それを踏まえてどんどん改善をしていくっていうスタンスをどこまで持っていけるか、国を挙げてPRをすべきだと思う」と話している。
(「イット!」6月12日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(12枚)