今が旬のフルーツに、異常事態が発生している。
2023年に猛暑が続いた影響で、サクランボの実が2つくっついたような形になる「双子果」が続出し出荷価格に影響を及ぼしている。さらに、今春の天候不順による「実割れ」も発生しており、山形・東根市の収穫量は平年より約1割減少する見込みとなっている。

規格外増加で…収穫量は1割減に

横浜市内にある旬のフルーツを使ったパフェが名物の店「ル・パルフェ馬車道」で、この時期一押しなのが、山形産の高級サクランボ・佐藤錦をふんだんに使った「さくらんぼのパフェ」(税込2420円)。

異常事態が発生している初夏の味覚「サクランボ」
異常事態が発生している初夏の味覚「サクランボ」
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しかし、この初夏の味覚であるサクランボに異常事態が発生しているという。

「ル・パルフェ馬車道」須藤兼之店長は、「去年よりも感覚的には20%くらい値上がり。パフェを始める前に市場とか業者さんと打ち合わせする。今年はどんな感じですか?って聞くと、かなり前の段階から『今年はちょっと高いかも』と言われてて」と話す。

2024年、サクランボの価格が高騰している背景には、ある異変があった。

「双子果」が増えているサクランボ
「双子果」が増えているサクランボ

須藤兼之店長は、「農家さんの方で採れ高が少し減っている。『双子果』といって形が悪くなって、規格外みたいな形になっている。規格のものが品薄になって値上がるので、そのあおり受けている」と話す。

通常、実が一つのサクランボが、2つの実がくっついたようなかたちになる「双子果」。規格外として扱われ、果実として出荷できないいびつな形のサクランボが増えているのだ。

安達農園で収穫した「双子果」のサクランボ
安達農園で収穫した「双子果」のサクランボ

佐藤錦の収穫が最盛期を迎えた山形・東根市の農家「安達農園」の金田美穂さんは、サクランボの状況について「集荷時期を迎えサクランボが赤く実っています。今年はこうした双子果が多くなっています」と説明。同じ「安達農園」の清野安子さんは「例年はほとんどない、双子はたまにしかない。今回は本当多くて収穫量の1割はある」と指摘した。

2023年猛暑が続いた山形のサクランボ畑
2023年猛暑が続いた山形のサクランボ畑

山形市では2023年、28日の猛暑日を観測し、年間の猛暑日日数が観測史上最多となった。こうした異例の暑さの影響で通常1本しかない花のめしべが、2本になる「双子果」が増えてしまったとみられる。

「JAさくらんぼひがしね」の調査によると、山形・東根市のサクランボの収穫量は、平年より約1割減少する見込みだという。

双子果は「訳あり品」として出荷

初夏の味覚サクランボに起きた異常事態。さらに別の地域では「双子果」に加え、新たな問題も発生していた。

お尻から実割れを起こしたサクランボ
お尻から実割れを起こしたサクランボ

春先の天候不順の影響で、サクランボの実割れを起こしていたのだ。

山形・寒河江市の「さがえ西村山さくらんぼ部会」大沼喜一部会長は「(この時期の実割れは)ない、初めて。雨で割れたことはあるが、お尻の方から割れるのはまずない」と話している。

訳あり品として出荷する「双子果」のサクランボ
訳あり品として出荷する「双子果」のサクランボ

「双子果」に加え「実割れ」によるダブルパンチ。「双子果」については「訳あり品」として出荷することを決めた。

さがえ西村山さくらんぼ部会・大沼喜一部会長は「おいしいサクランボを消費者に届けたい。1粒残らず食べてもらいたい」と前を向いた。
(「イット!」 6月6日放送より)

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