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仙台市に住む佐藤みい子さん(100)は、現役のパッチワーク作家だ。明るい笑顔と良く通る大きな声が印象的だが、パッチワークを作り始めると引き締まった作家の顔になる。全盛期よりペースは落ちたものの、今でも毎日5、6時間は針を持つという。教え子たちには「みい子さん」と呼ばれて慕われている。

右)パッチワーク教室で指導するみい子さん
右)パッチワーク教室で指導するみい子さん

パッチワーク作家のみい子さん

パッチワークとは、さまざまな布切れを縫い合わせて一枚の布に仕上げる手芸のこと。同じ布を使っても組み合わせ次第でその仕上がりは千差万別。幾何学模様や草木や動物まで表現する芸術作品だ。

「万華鏡」
「万華鏡」

みい子さんは去年、99歳のときに自ら“最後”と位置付けた個展を仙台市で開いた。白やピンク、紫の布を合わせて「花園」を表現した作品や高さ2メートルを超える「万華鏡」という大作まで、約50点を展示。みい子さんの孫も制作の様子をYouTubeで紹介するなどサポートし、6日間開催された個展には全国から約6000人が訪れたという。

寂しさから始めたパッチワーク

みい子さんがパッチワークを始めたのは55歳の時。夫・学郎さんが亡くなったことがきっかけだった。小学校の先生として勤めていたが、家で手持ち無沙汰になったことや「子供や孫に生きざまを残したい」という気持ちが芽生えたことから、独学でパッチワークに取り組み、75歳の時には自宅で教室を開くほどの腕前に。それからは3年に1度のペースで個展を開き、腕前を磨いてきた。

夫・学郎さんの遺影がみい子さんを見守る
夫・学郎さんの遺影がみい子さんを見守る

みい子さんが作り続ける理由

“最後”の個展から1年。100歳になったみい子さんを訪ねてみると、今も毎日、パッチワークに取り組む姿があった。作り続ける理由を聞いてみると、返って来たのは「挑戦」という言葉だった。

「何でも自分に挑戦。パッチワークも挑戦。針目が大きくても小さくても、手がぶらんとしてできなくなったときも、できないからといって何もしないで1日居眠りしていたのではダメ。自分に挑戦」そう話すみい子さんの目は生き生きと輝いていた。

90歳から始めた「勝負」

みい子さんの挑戦はパッチワークに留まらない。高齢者の健康づくりを目的に広がっている「健康マージャン」にも、90歳から挑戦した。およそ60人いる教室ではもちろん最高齢。「勝負することが楽しい」と話すみい子さんに、マージャン仲間にとっても励みになっているという。

尽きない挑戦への意欲

好奇心旺盛で年齢を感じさせない、みい子さん。もう一度、個展を開く気はないのか聞いてみると、「たくさんは作れないから、展示会なら参加したい」と話してくれた。まだまだ、みい子さんの挑戦は続いていく。

仙台放送
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