札幌市に2027年開業の大規模な展示場が整備されることが決まった。
広さはアクセスサッポロの3倍。
なぜ今、巨大な展示場が必要なのか。
市民の疑問を札幌市に聞いた。
新たなビジネスチャンスのきっかけになるか? 新たな展示場の概要
新たな展示場は札幌市豊平区の旧月寒グリーンドームの跡地だ。

白石区の「アクセスサッポロ」の後継施設となり、広さは2万8000平方メートルとこれまでの約3倍になる。

また、大小2つの展示ホールは7つに区分でき、札幌市は年間約508億円の経済効果を見込んでいる。

「交通量が増え混雑が心配」「にぎやかになるのは楽しみだ」と近隣住民の声も様々だ。
なぜ今、巨大な展示場を整備する必要があるのか?
新展示場建設の理由1 アクセスサッポロの老朽化
開業から40年が経過したアクセスサッポロ。

外から見ても老朽化が目立っている。

1984年に開業した「アクセスサッポロ」は、これまでも最新の暖房器具が集まるストーブ展や子どもたちを魅了する最新のおもちゃが並ぶ「おもちゃ見本市」など、様々な催事・展示会が行われてきた。

しかし、開業から40年が経ち施設の老朽化が進んでいるため、新たな設備が必要だ。
新展示場建設の理由2 展示場の狭さ
実は、大規模な催しを開催するには手狭だったアクセスサッポロ。
これまで展示会の規模縮小などを余儀なくされてきた。
札幌市は、他の会場だと大きくできるのにアクセスサッポロだと入らないため、開催自体を避けられる可能性も出てくると説明する。
新展示場建設の理由3 高まる展示場の需要
もう一つは、展示場の需要の高まりだ。
札幌市は、「利用率が大変高くて、コロナ前だと8割を超える水準。新たなイベントをやろうという方が予約が取れない状況になっている」と明かす。
アクセスサッポロの6月の展示会などの予定はすでに7割ほどが埋まっている。

空いているように見える日も前後の設営・撤収を含めるとほとんど空きがない状態だ。

巨大な新展示場では複数の展示会を同時に開くことができ、イベントの取りこぼしなどを防ぐ効果も期待されている。
札幌市の秋元市長は「場合によって長期に使えるようになるので非常に使い勝手のいいものになっていくと思う。今まで札幌でできなかったようなものを開催できる」と期待を込める。
しかし、わずか1キロ離れた場所には同じく展示会ができる札幌ドームがある。そこで、気になる市民の疑問を札幌市に聞いた。
市民の疑問1 札幌ドームとのすみわけ
最新の自動車などが集う札幌モビリティショー。札幌ドームの名物イベントとしてお馴染みとなっている。
一方で、車の展示イベントといえば、アクセスサッポロでは「北海道キャンピングカーフェスティバル」が毎年人気に。
このように車の展示会だけ見ても、市内2か所でそれぞれ開かれてきた。
札幌市の秋元市長は「新展示場は、企業の販売促進や商取引に特化した施設。札幌ドームは観客席を有する多目的施設。展示会のケースもあるが、スポーツやコンサートという大型集客施設としてすみわけしたい」と話す。

総工費約222億円をかけ建設される新展示場。
開業から15年間の維持管理費を含めると262億円の費用がかかる見込みだ。
市民の疑問2 税金の無駄遣いでは?

「今回はPFI手法で、設計、建設、維持管理が一体の発注をしている。維持管理しやすい設計になっている」(札幌市産業振興部 担当課長)
「PFI手法」とは自治体の公共事業で民間の経営や技術のノウハウを活用するため、事業者に施設の設計、建設、運営管理などを委託する手法だ。
無駄を省き、実用的な施設が作れることで良質な公共サービスが提供でき、税金の投入額を減らせるメリットがある。

2027年秋ごろの開業を目指す新たな展示場。ビジネスチャンスを広げることができるのか注目だ。