京都の街を歩く舞妓(まいこ)さんに、外国人観光客が執拗(しつよう)にカメラを向ける、いわゆる“舞妓パパラッチ”問題が深刻化している中、祇園の私道“小袖小路”では29日から、観光客の進入が禁止となった。外国人観光客はどのような反応なのか、現場で取材した。

“罰金1万円”の立て看板設置 

京都の祇園は29日も多くの外国人観光客で賑わっていた
京都の祇園は29日も多くの外国人観光客で賑わっていた
この記事の画像(47枚)

料亭やお茶屋が立ち並ぶ京都の祇園。29日も古都の風情を味わおうと、多くの外国人観光客でにぎわっていた。

“小袖小路”の入り口に29日に新たに設置された写真撮影と進入禁止を呼びかける立て看板
“小袖小路”の入り口に29日に新たに設置された写真撮影と進入禁止を呼びかける立て看板

しかし、祇園の中心にある花見小路を1本入った路地では、観光客に「NO」を突きつける工事が行われていた。

“小袖小路”の入り口に29日に新たに設置された写真撮影と進入禁止を呼びかける立て看板
“小袖小路”の入り口に29日に新たに設置された写真撮影と進入禁止を呼びかける立て看板

リポート:
午前9時50分です。看板が設置されました。これで観光客の進入が禁止となります。

“小袖小路”の入り口に29日に新たに設置された写真撮影と進入禁止を呼びかける立て看板
“小袖小路”の入り口に29日に新たに設置された写真撮影と進入禁止を呼びかける立て看板

観光客の進入が29日から禁止となったのは、祇園の私道“小袖小路”で、無断で入った場合、罰金として1万円が請求されることになった。

オーストラリアから来た観光客からは「残念ながら制限は必要だと思う」「住民のプライバシーは必要に感じます」との声も聞かれた。

では、なぜ立ち入り禁止となったのだろうか。

“舞妓パパラッチ”が問題化

お座敷に向かう舞妓さんは嫌がるように顔をそむけて歩くようすがうかがえる
お座敷に向かう舞妓さんは嫌がるように顔をそむけて歩くようすがうかがえる

お座敷に向かう舞妓さんを追いかけ、勝手にカメラを向ける外国人観光客の動画がSNSで拡散。舞妓さんは嫌がるように顔をそむけるが、それでも外国人観光客は構うことなく、舞妓さんにカメラを向け続けているのが分かる。

「やってはダメ!!すごく失礼よ」と見るに見かねた他の人からの声も記録されていた。

祇園一帯では、10年ほど前からこうした“舞妓パパラッチ行為”が問題化している。

舞妓さんがひとたび祇園の町を歩くと、すぐに外国人観光客が取り囲み、一斉にカメラを向けるのが日常化していた。

外国人観光客によって着物を破られたり、袖にたばこの吸い殻を入れられたりするなどの被害が相次いで発生
外国人観光客によって着物を破られたり、袖にたばこの吸い殻を入れられたりするなどの被害が相次いで発生

さらには、着物を破られたり、袖にたばこの吸い殻を入れられたりするなどの被害が相次いで発生。

こうしたトラブルを防ぐため、5年前から私道での撮影が原則禁止となった。

「本当は立てたくない…」と吐露

しかし、こうした撮影などの迷惑行為や地元の生活に影響が出るような観光客の増加もあって、地元協議会は今回、私道の通行禁止にまで踏み切ったのだ。

私道に面するお茶屋さんは「こんなん(看板)本当は立てたくないと思いますけれどね、あまりにも用なく(私道を)歩かはる人が多いので、やっぱり看板があった方が少しましになるかなぁと思ってます」と苦しい胸の内を明かした。

番組が2024年3月に取材した際も多くの外国人観光客たちが私道の“小袖小路”を散策していた
番組が2024年3月に取材した際も多くの外国人観光客たちが私道の“小袖小路”を散策していた

番組が2024年3月に取材した際も、多くの外国人観光客たちが町家が並ぶ私道を散策していた。

そして29日、通行禁止の看板が設置されると…。

リポート:
あちらの外国人観光客の方、看板を見て中(私道)に入らずそのまま立ち去って行きました。

取材中に私道に入る観光客は見られなかった。

私道を管理する祇園町南側地区協議会幹事の太田磯一さんは、「観光客の方も、それを受け入れる地域住民の方も、みんな気持ちよく生活と旅行ができると思いますので、できれば看板の通りに守っていただきたいと思います」と語る。

協議会は今後、今回立てた看板の効果を見て、他の私道にも広げるか検討する考えだ。
(「イット!」 5月29日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(47枚)