■「紀州のドン・ファン」の約13億円超の遺産の行方

この記事の画像(5枚)

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野崎幸助さん殺害の裁判は、まだ始まる見通しが立っていないが、野崎さんの死亡をめぐって、6月にまた別の裁判の判決が言い渡される予定だ。

それが13億円を超える野崎さんの遺産の行方を左右する司法判断だ。

そもそも野崎さんの遺産は普通であれば、妻である須藤被告の相続が4分の3、そしてきょうだいの相続が4分の1、このような形を取る。

ところが野崎さんの遺言書とみられるものが発見され、この文書には「故人の全財産を田辺市に寄付する」と書いてあるのだ。

この遺言書の「無効」を求めて、きょうだいらが提訴した。というのも、もしこの遺言書が認められると、いったん田辺市に全て寄付される形だが、妻である須藤被告も「遺留分」として半分を請求する権利がある。

つまり遺言書が認められると、田辺市に半分、妻である須藤被告も半分を相続し、きょうだいは1円も相続できないことになる。

一方で、この遺言書とみられる文書が裁判で無効と判断されたら妻4分の3、きょうだい4分の1相続となる。

他のパターンもある。須藤被告の夫・野崎さん殺害事件の裁判の行方次第で、遺産の配分が変わる。

須藤被告の夫殺害の罪が有罪かつこの遺言書が認められた場合、妻である須藤被告の「遺留分」の請求がなくなるので、全額が遺言書通りに田辺市に寄付される。

そして最後のケース。夫殺害の罪が有罪かつこの遺言書が無効とされるならば、全額をきょうだいらが相続する。

以上のような4パターンが考えられる。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:田辺市も割と早い段階でこの遺産を受け取る意向は示していて、すでに弁護士費用として予算計上しています。ただ、この裁判の結果にどちらかが納得いかなくて『控訴』となると、毎年また裁判費用が予算計上されていくということになります。つまり市の財政にも影響を与えるということを考えておかないといけません。

野崎さんを巡る殺人事件の裁判が、市民を巻き込む形にもなるという。野崎さん殺害についての裁判がいつ始まるのか、そして6月に予定されている、遺言書をめぐる裁判の判決が注目される。

(関西テレビ「newsランナー」2024年5月27日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。