歴史的な円安が、“家計の味方”100円ショップを直撃。店を取材すると、店長からは「ここ半年ぐらい急激に品物がなくなった」と悲鳴に近い声が聞かれた。
カップ麺は仕入れ値が「もう2~3円上がったらアウト」
1日、番組スタッフが訪れたのは、神奈川・川崎市の住宅街に店を構える「100円ショップ越後屋」。

商品約2000種類と品数豊富で価格も安い“家計の味方”とあって、多くの人が訪れていた。
店の利用客は、「週2回くらい(利用する)。簡単なリフォーム(用品)とか、食材が安かったりするので。(魅力は)安さですかね」と話す。
こうした声の一方、店は終わりが見えない円安に打撃を受けていた。

「100円ショップ越後屋」坂井一彦店長:
昔は(食品が)いっぱいだった。並んでいたけど、今は並べる物がない。
雑貨がだんだん増えてきた状態。
棚一杯にあったという食品は減り、代わりに雑貨などが多く陳列されている。
「100円ショップ越後屋」坂井一彦店長:
ここ半年ぐらい、急激に品物がなくなってきちゃった。円安の影響があると思う。

商品の約半分が海外からの輸入品のため、円安の影響は計り知れないという。
さらに案内されたのはカップ麺が置いてあるコーナーで、店長はこう説明する。

「100円ショップ越後屋」坂井一彦店長:
(以前は)下まで各メーカー全部あって、今はわずかしか残っていない状態ですね。50種類くらいあった、今は十何種類くらいしかない。
前は棚一面に置かれていたカップ麺も、今は4分の1までに減り、下の棚にはやはり雑貨が陳列された状態だった。
しかし今、その雑貨にも円安の大きな影響が迫っていた。
入荷が止まっているコピー用紙は5月6日あたりから店頭に並ぶというが、今まで通りの枚数では売れないという。
「100円ショップ越後屋」坂井一彦店長:
今まで100枚だったんですけど、それが60枚になるっていうことで…。100円で売らなくてはいけないので、しょうがないです。
商品の仕入れ価格が軒並み上がり続け、100円で売れるものが少なくなってきているという。
「100円ショップ越後屋」坂井一彦店長:
カップ麺も10円近く値上がりして厳しい。
(仕入れ値)100円超えています。もう2~3円上がったらアウトですね。

約85円だったカップ麺の仕入れ値が,今は販売価格とほぼ同じ約100円になった。あと数円上がれば、仕入れることが難しくなるという。
個人経営の店が100円を維持するのはかなり厳しい
100円にこだわり続けて25年。店は地域の人にとっては欠かせない存在で、買い物客からも「(100円ショップ)なくなってほしくはないですね」「(Q:なくなってほしくは?)ないです」という切実な声が聞かれた。

しかしこの円安では,個人経営の店が100円を維持するのはかなり厳しいと専門家は指摘する。
流通アナリスト 中井彰人さん:
大手の100円ショップの場合だと,100円~300円と商品の価格帯を増やして豊富になっている。
100円ショップと名乗らずに品揃えを見直すことで,生き残る可能性があると思います。
(「イット!」 5月2日放送より)