石川県は2024年のゴールデンウィーク期間中、従来の1.4倍のボランティアが被災地に入ると見込んでいる。そんな中県が力を入れているのが被災者のニーズの掘り起こしだ。どうすれば助けを必要としている人に適切な支援が届くのか。ニーズ調査の現場を取材すると課題が見えてきた。

被災地で始まった”ニーズの掘り起こし”

「ニーズを掘り起こしてさらなるボランティアの受け入れを加速させていきたい」4月18日の会見でこう強調した石川県の馳知事。東日本大震災や熊本地震などと比べて、ボランティアの活動人数が少ない能登半島地震。県がテコ入れしているのが被災者のニーズの掘り起こしです。

石川県の馳浩知事
石川県の馳浩知事
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ニーズ調査:
「今ボランティアのニーズ調査をお伺いしていまして。」

珠洲市大谷(おおたに)地区。住民のもとを訪れたのは珠洲市の社会福祉協議会から委託を受けた労働組合の中央組織・連合の職員だ。4月15日から市内1軒1軒を回り、困っていることがないかなどを聞いて回っている。

被災者のニーズ調査
被災者のニーズ調査

しかし…


連合の職員:
「珠洲はお優しい方が多いのでうちは大丈夫っていう方が多いんです。なので積極的に言っていただけたらボランティアを派遣しますので。」
住民:
「またお願いします」

取材班が同行している間、困っているという声はあったもののボランティアの依頼はなかった。

ボランティアの依頼をしたことがない人:
「家の中は散らかっている。でも重たいものはないから。」

ニーズ調査にあたった連合の職員は、能登の住民の印象をこう話す。「遠慮深いのかなと。もっとひどい家に行ってくださいと言われるので。」客観的には助けが必要に見えても、他の人を慮って我慢をする。そんな住民に職員はこう呼びかける。「ボランティアもいっぱい来ているのでぜひ頼っていただいて利用していただければ、より復興も進むのかなと思います。」

マッチングにも課題が

ニーズ調査で上がってきた要望をとりまとめてボランティアに作業を依頼する役割を担うのは、各地の社会福祉協議会だ。今回のニーズ調査によってボランティアの依頼はおよそ2倍に増えたという。珠洲市はゴールデンウイーク期間中、ボランティアの受け入れを現在のおよそ70人から100人ほどに増やして対応する予定だ。

被災者とボランティアのマッチングを行う珠洲市社会福祉協議会
被災者とボランティアのマッチングを行う珠洲市社会福祉協議会

ただ、ここでも課題が…

珠洲市社会福祉協議会 塩井豊事務局長:
「市外、県外に避難されている方、お仕事されている方のご都合もあるので、ボランティアに来てほしい日時が決まっている方が多い。そうするとその日に入れるボランティアも数が決まっているので、マッチングが難しい。」

例えば被災者が、自宅の片付けボランティアを依頼する場合、事前調査と活動日の2度、立ち合いが必要になる。このため、日程調整に時間がかかっているのだという。

二次避難者からは様々な声

市外に二次避難している人からはこんな声が…

珠洲市から二次避難している人:
「ボランティアの依頼はしたのだけど、2週間ほど連絡を待っている。いっぺんにボランティアを呼べないもんね。まだ家は手つかずだわ。」

一方、断水している地域に自宅がある人からはこんな声も聞かれた。

珠洲市から二次避難している人:
「水が出ないので。だから片づけるにもトイレもだめなので、自宅に長い時間いられない。家の中はがちゃがちゃやけどボランティアを頼むまでまだ考えられない。」

生活再建のスピードは被災者それぞれだ。県にはより多くの被災者が、必要な時に必要な支援を受けられるよう、息の長い支援が求められる。