生まれた瞬間から我が子の成長や貴重な瞬間を、カタチにして残していきたいという人は多い。

それでも、育児に追われておっくうになり、続かないこともある。

イラストレーター、絵本作家で2児の父のおおのたろうさんが手がけた『じんせいさいしょの育児日記』(KADOKAWA)は、毎日開いて、日々の成長をつい残したくなる仕掛けがちりばめられている。

『じんせいさいしょの育児日記』より
『じんせいさいしょの育児日記』より
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この『育児日記』の最大の特徴は、イラストのかわいさ。SNSでも話題になっている。

生まれた日から1歳までの思い出をつづることができる『育児日記』は、おおのさんのインスタグラムをフォローしているママ・パパの声から生まれた。

我が子の“じんせいさいしょ”を一冊に

今は我が子の一挙手一投足をスマホで撮影したり、細かな成長記録はアプリに残したりすることができる。

だからこそ、おおのさんは本というカタチで「記憶に収められるようにしたい」と『育児日記』を制作した。

「じんせいさいしょの○○○」(『じんせいさいしょの育児日記』より)
「じんせいさいしょの○○○」(『じんせいさいしょの育児日記』より)

「おなかにいた時の記憶」「生まれた日」から始まり、「おっぱい(ミルク)のんだよ」「もくよくしたよ」といった我が子の“はじめて”を残せる「じんせいさいしょの○○○」など、成長の過程を余すことなく記録できる。

現在は、7歳と3歳の子どもを持つ父親でもあるおおのさん。

「私は日記をつけていたのですが、親になった瞬間に子どもの話題が増えたことに気づきました」と、子どもが誕生し、親になってからの日記の内容に変化があったという。

その経験に加えて、おおのさんのインスタグラムをフォローしているママ・パパの声も『育児日記』に反映された。

日記にはわたし(親)のことも

「インスタグラムのストーリーで『どんな育児日記がほしいか』といったアンケートを取ったところ、ママ・パパ100人以上の声が集まりました」

「最初は続けられるのに、途中でやめてしまった」「もっと簡単に書けるものがほしい」といったリアルな声も反映させ、「よりシンプルに、簡単な内容にした」とおおのさん。

「きみのこと」「わたしのこと」の項目も(『じんせいさいしょの育児日記』より)
「きみのこと」「わたしのこと」の項目も(『じんせいさいしょの育児日記』より)

一番のこだわりは、日記欄。

子どもの成長を残したいと思い、我が子のことばかり書いてしまいそうになるが、自分(親)のことも一緒に書けるように、「きみのこと」「わたしのこと」と2項目にした。

「子どもの成長と、育児をしていた当時の自分のことを一緒に思い出してほしい」という、おおのさんの思いも込められている。

「途中からやめてしまう」という声を受け、「この本を開きたくなるように、記録よりも、楽しかった1日を思い出せること」を心掛けたと語る。

「さいしょのいっぽ」(『じんせいさいしょの育児日記』より)
「さいしょのいっぽ」(『じんせいさいしょの育児日記』より)

この「開きたくなる」を後押しするのが、盛りだくさんの、かわいらしい赤ちゃんのイラスト。

『育児日記』にちりばめられているイラストは、前著『じんせいさいしょの』(KADOKAWA)のイラストとリンクしているとおおのさんは言う。

そんな、おおのさんのイラストが人気を集めたのはSNSがきっかけだった。

我が子と読み返せる『育児日記』

1人目の子どもが生まれた際は時間も余裕もなかったが、2人目が生まれたことを機に、おおのさんは、赤ちゃんの日々の動きをイラストにしてSNSに投稿していたという。

『じんせいさいしょの』(KADOKAWA)

これらのイラストと書き下ろしを一冊の本にしたのが、4万部のベストセラー『じんせいさいしょの』だ。

生まれた瞬間から毎日「はじめて」を経験していく赤ちゃんの表情やしぐさをまとめている。

「1人目のときに見ていたしぐさを、2人目で再び見ることができて、“あるあるなんだ”と感じて。なので、モデルは次男ですね。

当初は、あるあるだと思ってなく、『かわいい、おもしろい』と作品にしていました。『じんせいさいしょの』には1100点を超えるイラストがありますが、気づいたらこの数でした」

お風呂担当だったおおのさん。赤ちゃんの力強さを感じた「湯で立つ」はお気に入りの一つ(『じんせいさいしょの』より)
お風呂担当だったおおのさん。赤ちゃんの力強さを感じた「湯で立つ」はお気に入りの一つ(『じんせいさいしょの』より)

寝ているとき、授乳やミルクを飲んでいるときなど、0歳児から1歳半の赤ちゃんの愛らしいしぐさや、思わずニンマリとしてしまうような“あるある”が詰まっている。

「『じんせいさいしょの育児日記』のイラストには、『じんせいさいしょの』のイラストがあります。見比べてみると、もっと楽しいかもしれません。これら“あるある”は、写真に撮ることができない瞬間も多いです。描く際は、かわいい瞬間を頭の中に記憶して、絵にしていました」

自分が動いたのに自分でビックリの「ビクーン」も推しイラストの一つ(『じんせいさいしょの』より)
自分が動いたのに自分でビックリの「ビクーン」も推しイラストの一つ(『じんせいさいしょの』より)

『じんせいさいしょの』の最後には「さくいん」もある。これもフォロワーの声を生かしたものだ。

「『一つ一つのしぐさを見つけたら、チェックしたい』ということで、索引をつくり、“あるある”なしぐさやシーンをチェックできるようにしました」

育児をしていると、貴重な瞬間も思い出も日々の生活の中で埋もれてしまうことがある。そんな宝物のような場面を記録に残したり、「あるある」と楽しんでほしいとおおのさんは語る。

「今日のヘアスタイル」も描いて楽しめる(『じんせいさいしょの育児日記』より)
「今日のヘアスタイル」も描いて楽しめる(『じんせいさいしょの育児日記』より)

「子どもが大きくなったときに、『育児日記』を我が子と読み返しながら、幼少期の話をしたりできる楽しさもあります。

私も、我が子が立った瞬間など、そのこと自体を思い出せたりできますが、でもそのときに私はどう感じていたのか、どこで、周りに誰がいたかなどは忘れてしまいやすい。

そういったことを残していくのもいいですよね」

現在、1歳半から3歳頃までのしぐさや行動を描いた『じんせいさいしょの』の続編も制作中とのこと。

かけがえのない一瞬を手軽に楽しく残せることができる『育児日記』。

出産を控えるママ・パパに向けてプレゼントとして贈ってもいいかもしれない。

『じんせいさいしょの育児日記』(KADOKAWA)

おおのたろう
香川県高松市出身のイラストレーター、絵本作家、2児の父。著書に『きみの中のぼく』(大和書房)、『あかちゃん あかちゃん』シリーズ(大泉書店)、『よしよしよしおさん』(ポプラ社)、『じんせいさいしょの』(KADOKAWA)などがある

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。