新型コロナウイルスの感染が収まらない中、今年は帰省シーズンを迎える。ここで考えさせられるのが、新幹線や高速道路などの移動手段を利用するときの感染リスクだろう。

新幹線は着席しての乗車が基本となり、乗車時間も一般的な在来線よりは長くなりやすい。例年の帰省シーズンには乗車率100%超えになることがあり、車内の窓も開かないことから、3密にならないかと不安に思う人もいるのではないだろうか。

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高速道路は基本的にそれぞれの自家用車で移動することになるが、サービスエリアなどの休憩施設では、不特定多数と接する可能性が高い。料金所でも、ETCでなければ収受員とドライバーが対面して金銭の収受をするため、こちらも心配される点ではある。

帰省シーズンを前に、現場ではどんな感染予防対策が取られているのだろう。私たちが利用する場合は何に注意すればいいのだろうか。

新幹線や高速道路の管理会社である、JR東日本とNEXCO東日本に取材した。

指定席の予約状況は前年の約8割減に

JR東日本によると、2020年のお盆期間(8月7日~17日)の指定席予約状況は、新幹線が予約可能な273万席のうち、約21万席、在来線が予約可能な約137万席のうち、約6万席にとどまっている。前年比だと新幹線、在来線ともに約8割減の状況だ。(※予約状況は7月21日現在)

コロナ禍が影響していると思われるが、実際の新幹線や駅ではどんな感染予防対策をしているのだろうか。JR東日本の担当者に実情を聞いた。


――お盆期間の予約減は何が影響したと思う?

新型コロナウイルスの感染拡大により、お客さまが外出や移動を自粛していることが影響していると考えられます。ただ、予約状況を調査した7月21日は、実際のお盆期間よりは少し前ですので、今後、予約が入る可能性はあると思います。

JR東日本のプレスリリースより

――新幹線の感染予防対策はどうしている?

お客さまに安心して列車をご利用いただくため、車両の消毒は全ての旅客車両で行っています。具体的には、座席回り、窓枠、手すり、トイレ、洗面所などを次亜塩素酸ナトリウム水溶液や消毒用アルコールなどによる拭き清掃を行っています。 

加えて、新型コロナウイルスの感染疑いのあるお客さまの乗車が判った場合は、お客さまが使用した部位あるいは、使用したと思われる部位を中心に拭き取り清掃を実施します。 

車内の空気は6~8分ほどで全て入れ替わる

――新幹線の窓が開けられないのはなぜ?

新幹線車両は高速走行するため、仮に窓を開けた状態でトンネル等を通過すると、その際に車内では急激な気圧の変化や大きな風圧を伴います。ご利用のお客さまの安全を確保するため、車内は気密性を確保し、気圧を一定に保ちます。そのため、窓は開けられません。


――車内の換気状態に問題はない?

新幹線の車内においては、空調装置や換気装置にて常時、外気の取り込みや排気を行っております。換気状況のシミュレーションでは、車内の空気は6~8分ほどで全て入れ替わるという検証結果が出ております。

新幹線の車内換気の仕組み(提供:JR東日本)

切符購入時にも間隔を意識して

――車内の座席間隔はどうなる?

JRの窓口で切符をご購入される際、係員はできる限りお客さま同士の間隔を空けてご案内するようにしております。ただ、切符はお客さま個人がウェブサイトや券売機で購入できますので、その際はできる限り、間隔を空けた席をご購入いただくことをお願いできればと思います。

例えば、ABCの3列シートがあり、Aが埋まっていたら、BではなくCを予約いただくといった形です。各座席の予約状況は、ウェブサイトや券売機で「シートマップ」としてご確認いただけるので、有効活用していただければと思います。

シートマップの画面例(提供:JR東日本)

――駅も混雑が予想されるが、ここの対策は?

マスク着用や手洗いなどの対策を実施しています。接客業務にあたる駅社員や列車乗務員(運転士・車掌)だけではなく、接客部門に従事しない社員も含めて、全社員にマスク着用を指示しております。また、駅の改札口や出札窓口では、ビニールやアクリル板を使ってシールドを設けて、お客さまと社員双方の飛沫感染防止対策を講じています。

さらに、首都圏の主要ターミナル駅を中心とした、各駅や非現業部門の入るビルなどでは、グループ会社の協力を得て、構内清掃の際に、階段やエスカレーター手すりなど手指が触れる場所について、アルコールでの拭き掃除を実施しています。 

お客さまに向けても、手指を消毒できるよう、「訪日旅行センター」や「新幹線乗換口」、在来線の駅などに消毒液を設置しています。


――感染予防のため、利用者ができることは?

駅や新幹線をご利用のお客さまには、手洗いや咳エチケットの感染症対策のほか、ラッシュ時間帯のご利用を避けるオフピーク通勤・通学などに、ご協力をお願い申し上げます。

高速道路は利用状況の見通しが難しい

新幹線は予約が大幅に減っているとのことだが、高速道路はどうだろうか。

NEXCO東日本に現状を聞くと、「例年にはない交通動向に影響を与える要因が存在するため、今年の夏季繁忙期における利用状況を見通すことは難しい」としたうえで、国土交通省のウェブサイトで公表している、高速道路の交通量増減情報を参考にしてほしいとのことだった。

サービスエリアをはじめとする休憩施設、料金所などの感染予防対策はどうなっているのだろうか? NEXCO東日本の担当者に聞いた。


――休憩施設の感染予防対策はどうなっている?

従前から取り組んでいることですが、施設で働く人たちは、手洗い、うがい、咳エチケット、マスク着用の徹底のほか、現金の受け渡しに金銭トレイの使用をするようにしています。

施設内では、お客さま用の消毒液を設置した上で、共用設備の定期的な消毒を実施するほか、ショッピングコーナーレジ、インフォメーションカウンターに飛沫防止用のビニールカーテンを設置しています。会計のレジ待ち時に間隔を空けやすいよう、床に目安を示すといったソーシャルディスタンスの啓発もしています。

客席を間引きしているので、食事に時間がかかる場合も

――利用客にお願いしたいことはある?

休憩施設のレジやトイレに並ばれる際は、ソーシャルディスタンスの確保のため、間隔を空けてのご利用をお願いします。その際は屋外でお並びいただくことも考えられますので、水分補給を心がけるなど、熱中症にご注意いただければと願います。

飲食施設などの客席は密を避けるために間引きしておりますので、お食事をしていただくのに時間がかかる場合がございますが、何卒ご理解いただきますようお願いいたします。また、屋内喫煙所は閉鎖しているので、喫煙される場合は屋外喫煙所の利用をお願いします。

フードコートなどの利用は時間がかかるかもしれない(画像はイメージ)

――施設内店舗の営業形態が変わることはある?

テナントごとの対応となるため、営業時間などは通常と異なることがあります。当社では、高速道路の利用者向けに「ドラぷら」というウェブサイトを運営していて、そこでテナントの休止情報、営業時間などはお知らせしているので、必要な場合はご確認いただければと思います。

ウェブサイト「ドラぷら」より

ドライバーにも感染予防対策をお願い

――トイレも不特定多数が利用するが、注意点はある?

休憩施設のトイレでは、ソーシャルディスタンスの確保のお願いや、ハンドドライヤーの停止などの感染防止対策を実施しております。ただ、お客さまにおかれましては通常通りにお使いいただければと思います。


――料金所の感染予防対策はどう?

料金所収受員のうがい、手洗い、マスク着用、咳エチケットの徹底や手袋の原則着用、金銭トレイの活用などを行っています。お客さまと極力、接触しない収受を実施しています。


――ドライバーに呼びかけたいことはる?

料金所においては、収受員も感染予防対策をしていますので、金銭トレイでの収受などをご了承いただければと思います。高速道路の利用全般に関しては、お客さまにおいても感染予防対策、咳エチケットやソーシャルディスタンスの確保にご協力をお願いします

接触が少ないETCを利用してもいいかもしれない(画像はイメージ)

JR東日本とNEXCO東日本、どちらの管理会社もできる限りの感染予防対策はしているが、利用客にもソーシャルディスタンス確保などの協力をお願いしたいとのことだった。

切符購入時のシートマップ確認など、少しの意識で協力できることもあるので、新幹線や高速道路などを利用する際は、心がけてみてはいかがだろうか。

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