長崎市内を走る長崎バスと長崎県営バスは、4月1日から労働時間規制強化を機にダイヤを大幅に改正し、長崎バスは平日の運行数を約200便減便した。一方で利用者や観光客の利便性向上のための取り組みもスタートさせたが、市民からは戸惑いの声が多く、慣れるまでに時間がかかりそうだ。
減便に区間短縮や廃止も
長崎バスはダイヤ改正で、平日の運行数を3,042便から2,846便と200便近く減便した。土曜も約100便、日曜も約150便の減便だ。
この記事の画像(8枚)利用者からは「減便も非常に困るが、今まで30分おきだったのが40分になり、間隔が長くなっている」と戸惑いの声も聞かれる一方、「運転士も大変だからね」と、運転士の人手不足など労働環境を理解する声も聞かれる。
長崎バスと県営バスが共同運行している高台などバス利用者が少ないエリアでは、一部区間は県営バスに一元化された。
一部区間は短縮されたり、運行が取りやめとなっている。目的地へ行くのに乗り換えを強いられる結果となり、町内会での陳情も検討しているという。
最終便の繰り上げで困る利用者
背景にあるのが、4月1日から始まった労働時間の規制強化だ。拘束時間はひと月あたり281時間の制限が新たに設けられ、退社から翌日の出社までの休息時間は9時間以上と、これまでより1時間長くなった。長崎バスや県営バスは慢性的な人員不足も重なり、減便や最終便の繰り上げに踏み切ったと説明している。
最終便は長崎バスは平日は最大で45分、土日も1時間ほど、県営バスは郊外向けは平日は最大25分、土日は1時間ほど、中心部向けは最大で3時間の繰り上げとなった。
利用者にとっては、最終便に合わせて仕事の切り上げを余儀なくされ、習い事や宴会などのプライベートにも影響するだけに困惑の表情を隠せない。
利便性向上の取り組みも
一方で、地元の利用者と観光客双方の利便性を向上させる取り組みも始まった。長崎市と西彼・時津町のバス停36カ所に大型モニターが設置された。
バスの現在地と遅延情報、車内の混雑状況が表示され、利用者からは「便利になった」という声が聞かれる。
またバスの行き先表示も大きく変更した。「行き先の上」には長崎駅や平和公園など「観光地の名称」が、「行き先の下」には「経由地」が表示されている。
「経由番号」も一部変更した。グラバー園や出島など観光地へ行くのに分かりやすいように統一された経由番号に変わった。目的地を尋ねられた時にどの「番号」のバスに乗ればいいか、観光客へ案内しやすくなる。しかしこれが混乱のもとにもなりそうで、従来の経由番号と違う行き先になったものもある。乗り間違いを防ぐためには「経由番号」だけでなく「行き先」もしっかり見る必要がある。
長崎バスは一部のバス停の名称を変更した。「浜口町」が「原爆資料館」に、「ハートセンター前」は「ブリックホール」など、観光地や施設名がバス停の名称となった。
観光客を含め、誰もが利用しやすいバスを目指す。わかりやすくなったと好評だ。
「2024年問題」で働く人たちの労働環境を守る一方、利用者が少しでも利便性が向上するような取り組みも始まった。
バスは生活の足として欠かせないだけに、働き方と快適な生活をどう共存させるか、一人一人が考える必要が出てきている。
(テレビ長崎)