台湾を襲った地震の発生から、5日目の4月7日。
この記事の画像(15枚)道路が寸断され、一時は700人を超える人が取り残されていた観光地・太魯閣公園の付近は、山間部につながる道路が開通し、孤立状態が解消されました。
今回の地震で注目される、台湾の対応の早さ。
2つのビルが倒壊した花蓮市では、急ピッチでビルの解体が進められ、翌日にはほぼ終了。
落石で運行停止となっていた列車も、台湾鉄道のスタッフほぼ全員である1000人以上を投入し、一夜明けた頃には線路が修復され、始発から全線で運行が再開していました。
被災者が身を寄せる避難所も、地震発生からわずか3時間で開設されるなど、なぜこれほどまでに迅速な対応ができたのか?花蓮市の職員に話しを聞いてみると…。
花蓮市社会課職員:
私たちの「防災LINEグループ」には、タイムリーに画像が上がります。
どこで災害が起こっているか、何をすればいいかがわかるので、すぐに関係部門が対応できます。ここには、民間団体も入っています。
支援や復旧に必要な行政部門と民間団体が集結。官民一体の対応があったといいます。
迅速な対応に充実の設備の理由
対応の迅速さだけでなく、充実した設備などにも注目が集まっています。
避難所には、41個の個室テントが設置され、テント1つにベッドが2~3個配備。
余震が続き屋内で寝るのが恐い人用に、外のグラウンドには赤十字のテントも34個設置されています。
温度調節もできるシャワー用のテントや、日用品や食料も充実。さらには避難者たちの疲れや緊張をほぐすマッサージや、子どもたちにはビデオゲームも用意されていました。
携帯電話の充電や、無料のWi-Fiもあり、被災者たちが少しでも快適に過ごせるように、様々な配慮が尽くされていました。
能登半島地震で被災地の災害マネジメント活動を行っている、危機管理アドバイザーの国崎信江氏は、これらの設備は日本の良い部分を取り入れた結果だと話します。
危機管理アドバイザー 国崎信江氏:
実は、台湾は同じ地震大国ということから、日本で起きた東日本大震災や熊本地震の避難所の在り方を調べて、良いと思ったところを取り入れてきているんです。残念なのは、日本はこのスタイルなるまでに、発災から2~3週間以上かかっている。これに対して、台湾は発災から2時間で準備をして、3時間で受け入れを開始しているということなんです。
自治体と民間団体の緊密な関係について、今度は私たちが台湾から学ばなくてはならないと感じます。
発災直後に充実した避難所を設置できた理由について、台湾日本研究院の藤重太主任研究員によると、台湾には多くのボランティア団体があり、仏教やキリスト教団体など宗教系のボランティア団体が中心となって活動しています。
ボランティア職員は、2年間の訓練を積んでおり、さらに、定期的に防災に対する会議を行い、訓練や職員のシフトを確認するなど、有事に対する意識が非常に高いです。
各ボランティア団体の役割が事前に決まっているため、政府からの指示を待たず、即座に活動を始められるということです。
危機管理アドバイザー 国崎信江氏:
(日本では)まず自治体職員の負担が大きいというということが、避難所の体制整理に時間がかかっている要因の1つかと思うんです。日本では、避難所開設から運営まで、民間ではなく自治体職員が担っていて、テントや簡易ベッドも自治体が日頃から管理している物を職員が運んできて、いざとなったら道路の状況を見ながら、職員がトラックの確保や燃料の確保をしてということなので、そもそも自治体職員が参集できないという最悪の状況もあまりシミュレーションされていないので、発災してから調整をするということで時間がかかる。
この間に、地域の住民の方々は避難をしてきます。その場にあるもので対応しようとするので、雑魚寝状態とか、数ある段ボールベッドと組み立てて。一度その環境ができると、あとから職員が来て環境を改善しようと試みても、非常に時間がかかったり、そもそも環境改善ができにくい状況になったりということが起こるんです。
――台湾のように迅速な対応をするためには?
宗教的なこころと、生活習慣のつながり、それから民間団体の実践的な訓練というものが現状日本ではできていないということがあります。こういった状況の中で最善を尽くすために、全国で急速に展開しているのが、ファーストミッションボックスになります。
これは、災害対応の知識や経験を問わず、その場にいる人がそこにある箱を開けて、その箱にある指示書を見て、行動することができるというシステムです。
これですと、その指示書を職員の方も、住民の方も皆さんで見て、その場で組織を作り機能的に動くということができるのです。そういったものが全国で取り入れられるといいのではないかなと。
(「めざまし8」4月8日放送より)