2024年4月3日、台湾付近を震源とする地震で沖縄には一時、津波警報が出され、高台を目指して避難する車の渋滞が各地でみられた。

気象庁は、今後1週間程は、同程度の地震に注意を呼び掛けていて、今回の津波避難で見えてきた課題について専門家にどのように備えるべきか話を聞いた。

対向2車線の道路を一時的にに4車線一方通行に

視聴者が撮影したこの映像は、宜野湾市の伊佐交差点から普天間交差点に繋がる道路。
高台へと向かう車が渋滞し、その影響は国道58号線にまで及んだ。

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山城志穂記者:
警察による交通規制で、この通りは一時、4車線すべてが高台へ向かう一方通行道路となりました

県警は急きょ、対向2車線の道路を一方通行に切り替え渋滞の解消を図ったが、車社会だからこそ浮かび上がった課題だ。

垂直避難が浸透していない沖縄

阪神淡路大震災を経験し、県内で防災士として活動する稲垣暁さんは、「垂直避難がやはり、まだ浸透していない」と指摘する。

垂直避難とは水害の際に、自宅や付近の建物の上層階に移動する避難方法。

那覇市松山にある津波避難ビルは、屋上が海抜15メートル、約2000人を収容できる施設、3日は約850人が避難した。

防災士・稲垣暁さん:
無理して高台に行かずに、沖縄本島の都市部だったら周りに高い建物いっぱいあるから、とりあえず最寄りの高い建物の上層階に逃げる。最初から自分がいる場所が高い建物であれば、そのまま上がる

沖縄の場合は避難所での熱中症のリスクは高い

津波警報が発表された3日は、那覇市で気温が27度を観測するなど、夏日となり、屋上への避難者の中には体調を崩す人もいた。

津波避難ビルは各フロアにエアコンを完備しているが、大人数が避難した場合、全員の収容は難しいのが現状だ。

稲垣さんは、「屋外で避難するっていうことになった場合は、やっぱり暑さ対策ということが非常に重要になってくる。沖縄の場合熱中症のリスクは他県に比べて遥かに高い」と指摘する。

津波警報が出ると長期戦になる

今回の避難で、那覇市は、備蓄した水を配るなどして対応したが、稲垣さんは、個人でできる
備えとして飲料水のほか、雨や日差しを避ける傘、扇子やうちわなどを普段から持ち歩く事を提案する。

防災士・稲垣暁さん:
やっぱり今回はちょっと異例だったという風に考えている。普通はこうじゃない。やっぱり一旦津波警報が出ると、そこでちょっと長期戦になる。そういう覚悟を普段から持っておく必要があります

東日本大震災では、沖縄地方の津波警報・注意報が、全て解除されるまで約30時間を要した。

気象庁では、今後1週間程度、同程度の地震に注意を呼びかけていて、改めて万が一への備えへの確認が必要だ。

県の津波避難計画では、「避難する際は原則徒歩」と定めている。                          稲垣さんは、「車での移動は、歩いての移動が困難な車いす利用者や、緊急車両のためとするなど、地域ぐるみの避難計画などを設定するなど取組みが必要」と指摘するほか、「住んでいる場所のハザードマップ、通勤経路、業務で使う道などのハザードマップも意識していく事が大切」と話す。

また、内閣府は、運転中に大地震が発生した際には、車を路肩に寄せて駐車し、エンジンを停めて鍵をつけたままドアをロックせず車を離れて高台に避難するよう呼び掛けている。

(沖縄テレビ)

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