秋田市外旭川地区のまちづくり事業をめぐり、市と秋田県の主張が平行線をたどっている。計画が動き出すには何が必要なのか。これまでの経緯を振り返り、今後の動向を分析する。

まちづくり事業をめぐり意見が対立

秋田市は外旭川地区に、卸売市場と新スタジアム、それに観光・集客施設を一体で整備する計画を進めている。

秋田市外旭川地区のまちづくり事業
秋田市外旭川地区のまちづくり事業
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開発予定地の大部分が農地のため、市は規制緩和に向けて「地域未来投資促進法」を活用する方針だが、それには県と共同で「地域未来基本計画」を作成して国に申請する必要がある。

秋田市は当初、3月中の申請を目指していたが、県の同意を得られず断念した。市は、次の申請期限を6月中旬と設定しながらも、具体的な内容を盛り込んだ「まちづくり基本計画」を3月下旬に策定した。

これを受け、佐竹知事は4月1日の記者会見で「まちづくり基本計画があの通りであれば、永久に無理」と語気を強めた。

4月1日に行われた記者会見 佐竹知事は同意せず
4月1日に行われた記者会見 佐竹知事は同意せず

秋田県・佐竹知事:
秋田駅前の中心市街地にマンションもいっぱい建って、相当利便性が良くなる。あそこに人が集まってきた。これをぶち壊すようだ。中心市街地の活性化のために国から交付金をもらってきた。終わったら、外旭川。これでは国との信頼性もおかしくなる

佐竹知事が疑問を呈する計画内容

計画を前に進めるという観点で必要なのは“県の同意”。つまり、佐竹知事が納得することだ。

開発予定地の大部分が農地のため、秋田市は規制を緩和するために「地域未来投資促進法」を活用したいと主張している。そのためには、「地域未来基本計画」を県と共同で作成し国に申請しなければいけない。しかし、佐竹知事は現在の計画に納得していない。

では、佐竹知事は計画のどのような点に疑問を持っているのだろうか。
まずは、「地域未来基本計画」と「まちづくり基本計画」の違いについて見ていく。

「地域未来投資促進法」を活用するために必要な申請
「地域未来投資促進法」を活用するために必要な申請

「地域未来基本計画」とは、地域未来投資促進法を活用するために、県と市が共同で国に申請するもの。開発する地域の特性や、事業による経済効果の目標などが記されている。

「まちづくり基本計画」は秋田市が単独で作成
「まちづくり基本計画」は秋田市が単独で作成

一方で「まちづくり基本計画」は、秋田市が単独で作成した。卸売市場や新スタジアム、観光・集客施設で事業費がどのくらいかかるか、どのような企業が入るか、何をやっていくのかなど具体的な内容が盛り込まれている。したがって「地域未来基本計画」は具体的な事業内容は記載する必要がない。

しかし佐竹知事は、国への申請のために市が大前提として考えていることが「地域未来投資促進法の趣旨に合っていない」と指摘している。その上で「まちづくり事業自体が本当に実現できるのか」「県内の他の商業地や観光地への売り上げ減少などの影響」、さらには「外旭川地区で一体的に行う必要性」など多くの疑問点を挙げている。

佐竹知事は、これらに納得できなければ「県としてゴーサインは出せない」としている。

今後の動向は?キーマンはイオンタウン社長

秋田市が計画をどうにか前に進めるために、計画を見直す可能性はあるのだろうか。今後の動向のカギを握るのが、イオンタウンの加藤久誠社長だ。

知事が疑問を呈する「観光・集客施設」はイオングループが事業主体だ
知事が疑問を呈する「観光・集客施設」はイオングループが事業主体だ

佐竹知事は、まちづくり基本計画の中でも特に「観光・集客施設」の事業内容に疑問を呈している。法律が「地域の特性を生かした高い付加価値の創出」を求めている中で、佐竹知事は「計画に入っている企業は全て従来型で、先進的な企業は1つもない」と計画の大幅な変更を求めている。

市長は4月中にイオンタウンの加藤社長と会談する方向で調整
市長は4月中にイオンタウンの加藤社長と会談する方向で調整

「観光・集客施設」はイオングループが事業主体となっていて、穂積市長は4月中にイオンタウンの加藤社長と会談する方向で調整している。

計画を見直す方向にかじを切るのか。見直すとすれば、どのように変わっていくのかが今後の焦点となりそうだ。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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