秋田市の外旭川地区のまちづくり構想に含まれている新スタジアムについて、秋田県の佐竹知事は6日、「別の場所に建設候補地を探すべき」と述べた。

新スタジアム建設にともなう知事と市長の意見の相違

秋田市は、外旭川地区に新スタジアムや民間施設、卸売市場を一体的に整備する方針。一方で、地区の大部分が農地で、開発に制限があることから、秋田県とともに事業計画を作り、国に同意を得る必要がある。

佐竹知事は6日、県議会の閉会後、報道機関の取材に対し次のように話した。

「建設候補地を探すべき」と話す秋田県・佐竹知事
「建設候補地を探すべき」と話す秋田県・佐竹知事
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秋田県・佐竹知事:
新スタジアムを切り離すべき。農地以外に別の場所で建設候補地を探すべき。新スタジアムを支援することは変わりない。問題は、新スタジアムをあの場所でやるとすると、全部を無条件で県が同意することになる。これはおかしい

一方、秋田市の穂積市長は次のように話した。

秋田市・穂積市長は「互いの理解が足りなかった」
秋田市・穂積市長は「互いの理解が足りなかった」

秋田市・穂積市長:
県とは、お互いに理解が足りなかったという思いがある。知事とお会いして、外旭川のまちづくりに対して意見交換をしながら、改めて協力をお願いしたい。スタジアム自体も単にスタジアムをつくればよいという問題ではない。どうにぎわいをつくっていくのか、まちづくり全体の中で検討して、より良いものをつくっていく

新スタジアムの完成のめどは

佐竹知事は、6月議会で、スタジアムの建設が想定されている秋田市の外旭川地区について厳しい指摘を繰り返した。この発言を、秋田市はどのように受け止めているのか。

秋田市まちづくり戦略室の多可和幸室長は、秋田テレビの取材に対し「新スタジアムの建設候補地を変える予定はなく、新スタジアムと民間施設、卸売市場などを一体的に整備していく」と話していた。そのうえで、クラブ側に伝えたように「2026年度の着工には間に合う想定でいる」としている

仮に、2026年度に着工したとして、佐竹知事は「現在の建設候補地の農地は軟弱地盤で、埋め立てや地盤改良、建設までに7~8年かかる」と指摘した。完成のめどは立っているのか。

それは、秋田市の「着工」が何を意味しているのかによって変わってくる。秋田市によると、いわゆる「造成工事」を指すという。現在、新スタジアムの建設候補地は田んぼだが、そこを「さら地にして始めること」を「着工」としている。知事が発言した通り「埋め立てから建設まで7~8年」かかるとすると、単純に考えて、完成は2033年度~2034年度あたりが想定される。

一方、秋田市は6日、2028年度の完成を目指すと表明した。建設費は、現在約143億円とされている。これは、ブラウブリッツ秋田が中心となって設立する会社が55億円、秋田県と市がそれぞれ33億円を負担すると想定されている。仮に、大規模な地盤改良などが必要になると、費用が膨れ上がる可能性が指摘されている。

複雑な思いを抱える秋田市民「検討の余地があるのでは」

行政が費用を負担するということは、県民・秋田市民も当事者ということになる。街では、多くの人が複雑な思いを抱えていた。

30代会社員(秋田市):
佐竹知事の発言を聞いていると、何で話がこじれるのかなと思う。そこに(今の建設候補地に)固執する必要がない。そこじゃなきゃいけない理由があるんだったら知りたい

30代会社員(秋田市):
本当にそこ(今の建設候補地)でいいのか、地盤はすごく大切だと思うし、それ以外の建設候補地も含めて、検討の余地があるのではないか

30代専業主婦(秋田市):
県民みんなが負担するのは、県民が本当に納得がいかないと難しいと思う。私としては、別の場所に新スタジアムを建設した方がいいと思う。7~8年の時間と費用がすごくかかるので、違うところで、安全性もあってコストも抑えられるところがいい

「地盤改良や建設などで莫大(ばくだい)な費用がかかるのであれば、別の場所にした方がいいのではないか」という意見もあった。

ブラウブリッツが申請したクラブライセンスの結果は、2023年9月にも判明する予定で、今後の動向が注目される。

(秋田テレビ)

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