小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」を使ったサプリメントで健康被害が相次いでいる問題をめぐり、自民党の田村憲久元厚労相が31日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演。
今回の問題について、「製造工程で何か問題があったという話だと思う」としたうえで、「適正な製造規範を強化しながら、変なモノが混入しないような仕組みづくりが必要になる」と述べた。
また、消費者にとっての国のお墨付きとも言われる「機能性表示食品制度」について、「ガイドラインだけでなく法律、強化することは必要だと思う」と述べる一方、「サプリ全体についてそういうものを作らなきゃいけないんじゃないかということも、幅広に議論した方がいいと思う」と述べた。
一方、立憲民主党の山井和則衆院議員は、「もしこれが機能性表示食品に由来する健康被害だったとしたら、行きすぎた規制緩和というものを見直していく必要があると思う」と指摘した。
番組コメンテーターの橋下徹氏は、「食品全般に通じてその製造工程に関して何か問題がある場合に、健康被害の広がりをどう止めるかという仕組みを作らなきゃいけない」と述べた。
以下、番組での主なやり取り。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
(小林製薬の紅麹サプリメントから『プベルル酸』という毒性が高い成分が検出されていたことに関し)混入の経路について非常に気になるところだが、昨日、小林製薬の大阪の工場への立ち入り検査が行われたが、今後、明らかになってくるか。
田村憲久(自民党・政調会長代行、元厚労相):
う~ん、なかなか難しいと思う。こういうものは本来発生しないはずなので。ちゃんと、こういうようなサプリメントを作るときには、製造工程でそれぞれの製造管理だとか、品質管理をしっかりやるということで、適正製造規範 = GMPというのがある。これはサプリメントも健康食品のGMPという認証の仕組みがあって、報道ベースだと、小林製薬も認証をやっているという話なので、本来は製造工程だとか、品質に関しての評価をしてちゃんと適正なものでやってるはずだが、にも関わらずこういう問題が起きているということは、これからどういう形でさらに信頼性を上げていかなきゃいけないか。これは小林製薬だけじゃなく、サプリメント業界全体、機能性表示食品だけじゃなくて、いろんなもの全て、いろんなサプリ全てどうしていくんだという議論になってくると思う。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
消費者庁もまさにそうした調査を始めているようだが、この紅麹サプリでたくさんの健康被害、症例が出ているということだが、紅麹の原料が小林製薬からどれぐらいの範囲に及んで行き渡ったのかについて、まず52社に直接この原料を下ろしていて、そこから食品メーカーなど173社に紅麹原料を供給してきたということがわかっているが、新たに帝国データバンクの調査で、小林製薬の紅麹原料を使った関連製品について、二次販売先までを対象に調査したところ、国内で3万3000社に流通の可能性があるということがわかったと。これをトレースするのはかなり難しいと思うが、全容を把握することは可能と考えるか。
田村氏:
それぞれ、いろいろな取引の中で流れているので、ある程度は時間をかけて調査をすればわかるのだと思うが、消費者の方々は非常に不安になっているので、そういう意味では厚生労働省は今回173社の企業名を公表した。これは結構大変なことで、それぞれの企業にしてみれば、商売にも影響してくる可能性もあって、それでも厚労省が今回公表したのは、早い対応だったと思う。
松山キャスター:
今回、最初の症例がわかって報告を受けてから実際に回収するまで、およそ2カ月を要した小林製薬の対応の遅れの問題も指摘されている。
橋下徹(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
自分のような外からの立場で、あれは対応が遅かったと言うのは簡単だが、因果関係がはっきりしてない中で、全部の製品の流通を止めるというのは、企業の経営にも関わってくることなので、小林製薬のトップとしては悩むのはわかるし、行政の方も、大阪市の対応がものすごく遅れている。厚生労働省からの通知が来て初めて回収命令を出しているが、本来大阪市単独でも事態を把握すればヒアリングをして回収命令出せるが、大阪市側の方の言い分としては、やっぱり因果関係がわからないから回収命令出せない。なぜかというと、回収命令を出して、あとで因果関係がないということになるとそれは誰の責任になるのかと。製品が止まってしまうと売り上げも止まる。もちろん企業の責任者・経営陣は、そこをわかったうえでしなきゃいけないが、売り上げが止まれば、企業経営にも関わることになる。今回の機能性表示食品に限らず、口に入れるもの全般について、いったん広がってしまうともう止まらないので、早めに止めさせるためには、まず止めさせて、もし因果関係がなければ、何かしらそこは支援するというような形で、先に止めさせるけども、問題なければそこはちょっと支援するっていうような仕組みが食品全体に必要なのではないか。
田村氏:
これからやっぱり、そういうことも踏まえていかなきゃいけないかもしれない。これだけ健康食品や機能性表示食品が今これ注目されているが、実は健康食品もいろいろいっぱい種類がある。(届け出が)何もないもの、それから、今消費者庁に届け出っていうのは機能性表示食品のことだが、栄養機能食品っていうのも実はあって、これは、例えばビタミンだとかミネラルだとか脂肪酸だが、これに関しては、届け出もしなくていい。事後認証でいいと。やっぱりサプリメント全体をどうするんだということを考えた時に、いったん止まったあとどうするんだっていうことを考えた時の支援策っていうのは、ちょっとこれからは検討もしなきゃいけないのかもしれない。
松山キャスター:
今回、小林製薬が公表するまでにおよそ2カ月かかっている。対応の遅れについてはどう考えるか。
山井和則(立憲民主党・衆院議員、元厚生労働大臣政務官):
ここは一番深刻な問題だと思う。あまり早く商品を止めすぎて、結果としてそうじゃなかった場合に企業が損害をかぶるので、その時は何らかの支援になる補償が必要だと思うが、原則としてはガイドラインがあって、機能性表示食品について届け出者は、評価の結果、届け出食品による健康被害の発生および拡大のおそれがある場合は消費者庁に速やかに報告するというガイドラインがある。残念ながら結果的には、このガイドラインを小林製薬は守らなかったと言わざるをない。そういう意味では、今後の再発防止策として、少なくとも即日とは言わないが、もうちょっと速やかに健康被害に関する報告を義務付ける対策なり、また、必要であれば法改正なりそういうことを今後、原因究明がなされた後だが検討する必要があるんじゃないかと思う。
松山キャスター:
まさに成長産業として位置づけて、これまで(機能性表示食品を)育成してきた側面もある中で、こうした健康被害の再発防止をどうやって図っていくのか。
田村氏:
まず、機能性表示食品だとか、届け出さえもいらない栄養機能食品だとか、こういうものがどういうものかということを、もっと政府が広報しなきゃいけないと思う。トクホとどう違うのかと。機能性表示食品が全くもっていい加減かというとそうでもなくて、これはこれで一応効果があるということを専門家が査定した論文、こういうものを専門誌に載せている。そういう要件もあるから、ある程度専門家が見て、理解しているようなものであることは確か。ただ、政府がそれをちゃんと検査してない。それから、安全性もあくまでも、それぞれの企業の言い分であって、政府が安全性をちゃんと見てるわけではない。一方で、そういう安全性だとか有効性というものを国民が知ろうと思えば知ることができる。そういうものであるということをちゃんと説明をしないと、国民がサプリメントに対して全部トクホみたいなイメージを持ってしまうことは大きな問題だ。それから、サプリメントというのはあくまでも栄養の補助的なものであって、薬とのいろんな飲み合わせもある。だから、本来は薬剤師に相談しながら使っていただくことをやらないと、体にいいと思ってたら、この薬との飲み合わせで悪かったということは当然起こりうるので、そういうことも気をつけながら使っていただきたい。
田村氏:
ただ、今回、(サプリに)有効性がなかったっていう話ではなく安全性の問題で、多分製造工程で何か問題があったっていう話だと思う。適正な製造の規範というものをもうちょっと強化しながら、変なものが混入しないような仕組みづくりを全体としてやっていくってことは、機能性表示食品だけじゃなく、健康食品全般でどうやって進めるかというのは大きな課題だと思う。
橋下氏:
これは健康食品に限らず、食品全般に通じて言えることなのではないか。その製造工程に関して何か問題がある場合に。だから、機能性表示食品だけの問題じゃなくて、口に入れるものをすべてについて何か問題があったときに、どう広がることを止めるかという仕組みを作らなきゃいけないと思う。
山井氏:
今回このサプリは100万個売れたと言われている。でも今回のこれが機能性表示食品じゃなかったら100万個も売れていないわけだ。ということは国がお墨付きを与えたということ。いざこういう健康被害が起こった時には、国はそのお墨付きを、届け出制とはいえ与えた責任があると思う。そういう意味では今回これは大きい問題だと思うのは、ある意味で、アベノミクスの光と影。良かった部分、悪かった部分。もしこれが機能性表示食品に由来する健康被害だったとしたら、行きすぎた規制緩和というものを、もう少し安全性の確保をどうするのか、さらに、健康被害の時の速やかな報告・公表義務をどうするのか、そういうことを見直していく必要があると思う。
松山キャスター:
山井氏が先ほど言ったが、ガイドラインにあるように症例があったら直ちに報告することを義務化する法改正を行ったらどうかという話については。
田村氏:
これはやはり機能性表示食品というのは、言われる通り、国がお墨付きというか、こういう制度があるので、今まではガイドラインだが、これを法律強化するのは必要だと思うが、それだけでいいのかと。他のサプリ全体にそういうものを作らなきゃいけないんじゃないかということも幅広に議論した方がいいと思う。