西日本豪雨から6年。被害の大きかった広島・坂地区の小学5年生が災害の記憶を風化させまいと奮闘している。取り組んだのは「小学1年生でもわかるハザードマップ」。それは子どもらしい発想と工夫にあふれていた。

「1年生が見てもわかるような」

「レベル4までに危険な場所にいる人は必ず全員避難しましょう」
災害の恐ろしさを力強く伝える坂小学校の5年生。その話を真剣に聞いているのは1年生だ。

今から6年前の2018年、広島・坂町など県内各地で甚大な被害を出した西日本豪雨。

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あの時、幼稚園や保育園の年長だった子どもたちは小学5年生に。記憶が薄い災害当時を学び、自らの防災意識を高めるとともに後輩たちにも伝えたいと考えた。災害が起きた場所をめぐり、地域住民に話を聞いた。

坂小学校 5年生:
1年生が見てもわかるようなハザードマップにしたいと思いました

川の氾濫や土石流を“立体的”に表現

ハザードマップ発表の日。坂小学校の体育館では、5年生がグループに分かれ、大きな模造紙を広げて1年生に説明していた。

ハザードマップを見て真剣に話を聞く1年生
ハザードマップを見て真剣に話を聞く1年生

一般的なハザードマップとは少し違っている。川に水色のテープを張り小石を並べるなど、どのグループも立体的な作りに。

土石流の様子を小石などで立体的に表現

「土石流」を表現するために、山の斜面から石がゴロゴロと落ちる仕掛けが施されていたり、実際の砂を使うグループもあった。ハザードマップには地域ごとの被害状況や、いざ災害が起きた時の避難先、注意すべきポイントを写真も使ってわかりやすく紹介している。

坂小学校 5年生:
オレンジ色と水色を混ぜたところは水が来て危険なところです。この写真を見ると川が氾濫しています

地域住民も防災を考えるきっかけに

発表を聞いた1年生は当時2歳。

(Q:災害があったのは知っている?)
坂小学校 1年生:
お母さんに教えてもらった。怖いと思う

(Q:今日は勉強になった?)
坂小学校 1年生:
こういうところを通ったらダメとか、こういうものを用意すればいいんだなとわかりました

坂小学校 1年生:
被害がいっぱいあったんだなと思いました。ハザードマップを作って説明してくれたからわかりやすかった

見学に来ていた地域住民も興味津々。災害から6年がたち、記憶の風化が懸念される中で子どもたちから大きな刺激を受けたようだ。

地域住民(西日本豪雨当時の消防団長):
これを機に、われわれ地域の人たちも、防災に関してもっともっと考えていかないといけないと。今回は本当に感謝しています

そして、5年生の代表はこう誓った。

坂小学校 5年生:
できて終わりではなく、これからもっと多くの人たちに伝えて、たくさんの命が守れるように活動を続けていきたいと思っています

伝わってこそのハザードマップ。小学1年生が見てわかる地図は大人にもわかりやすい。防災に取り組む姿勢を児童たちから教わった気がした。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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