年初来の日経平均株価の上昇基調の中、株価はバブル期を越えて史上最高値を突破した。株式市場の熱気の一方で、景気が上向きとの実感にはほど遠いことが、FNN世論調査で明らかになった。景気が上向いているかどうかについて「実感がある」は9.3%、「実感はない」が88.8%となった。
正規・非正規と東京・地方で“温度差”
職業別に景気実感についての回答を分析してみると、景気が上向きだと「実感する」との答えは、「正規雇用」で働く人で9.5%、「非正規雇用」で働く人で4.1%、と実感に大きな違いがあることが明らかになった。また、「自営・フリーランス」では16.6%となった。
景気上向き実感を、地域別部見てみると、景気回復の波が到達しているのは“東京近辺まで“との姿が浮き彫りとなった。

景気について上向きとの実感があるとの答えは「東京都」で20.2%、「南関東」で18.6%と2割前後の回答があった。続いたのは「九州・沖縄」10.1%、「近畿」7.3%、「東北」7.0%、「東海」6.6%と続き、「四国」6.5%、「北海道」4.9%、「北陸信越」4.4%、「中国」3.8%、「北関東」3.0%との結果になった。
景気を実感するに至る割合が比較的高いのは、首都圏に限られているのが現状で、続いて「九州・沖縄」が続いたことについては、インバウンドの段階的な回復がした支えしていると見られる。
一方で、「北海道」には、インバウンドも含め景気上向きの波は到達していないと言える。総じて、日経平均株価4万円となったものの、実生活での“上向き実感”はまだまだ低いのが現状だ。
【景気上向きの実感(全体)】
実感がある 9.3%
実感はない 88.8%
【景気上向きの実感(働き方別)】
実感あり 実感なし
正規雇用 9.5% 90.3%
非正規雇用 4.1% 95.9%
自営・フリーランス 16.6% 81.6%
主婦・主夫 8.4% 86.0%
学生 12.5% 87.5%
無職 6.3% 90.0%
【景気上向きの実感(地域別)】
実感あり 実感なし
東京都 20.2% 77.0%
南関東 18.6% 80.7%
九州 10.1% 88.7%
近畿 7.3% 88.5%
東北 7.0 % 91.1 %
東海 6.6 % 93.4%
四国 6.5% 92.7%
北陸信越 4.4% 93.6%
中国 3.8% 92.9%
北関東 3.0% 95.9%
春闘33年ぶりの高水準回答でも、力強い賃上げ「実現しない」8割
景気の実感に直結する賃金上昇についても調査したところ、春闘で33年ぶりとなる5%台の賃上げ回答をしたなか、岸田総理が掲げる「夏頃に、賃上げを含む所得の上昇が物価上昇を上回る」目標の実現について聞いたところ、「実現すると思う」15.6%、「実現しないと思う」79.5%と先行きには期待が広がっていない答えとなった。

さらに、同じ質問を行った2023年11月調査当時は、「実現を期待する」との答えが27.0%あり、春闘で高い賃上げ回答がでたものの、力強い賃金上昇への期待は、しぼみつつある結果となった
【物価上昇を上回る賃金上昇】
2024年3月 2023年11月
実現すると思う 15.6% 27.0%
実現しないと思う 79.5% 71.0%
先行きに期待が広がらない背景に、賃上げの波が大企業の正規雇用者にとどまり、中小・小規模企業や非正規で働く人に賃上げの波が広がっていないことが一因とみられることが調査結果からうかがえる。

「物価上昇を上回る賃金上昇」が実現するかという質問について働き方、職業別に聞いてみると「実現する」と答えた人は「正規雇用」で15.8%、「非正規雇用」で9.6%と、賃金の先行きについて、派遣労働など、非正規で働く人は厳しい見方をしていることが明らかになった。
【物価上昇を上回る賃金上昇(働き方別)】
実現すると思う 実現しないと思う
正規雇用 15.8% 81.4%
非正規雇用 9.6% 85.7%
自営・フリーランス 20.1% 78.5 %
主婦・主夫 13.6% 80.5%
学生 22.3% 74.8%
無職 15.0% 75.7%