2023年、新潟市内で酒に酔った同僚女性に対し、同意を得ずに淫らな行為をしたうえ、盗撮した罪などに問われている元新潟県警幹部の男の判決公判が3月14日に開かれた。新潟地方裁判所は男に懲役5年6カ月の実刑判決を言い渡した。

泥酔した同僚女性に淫らな行為・盗撮

午後2時前。担当弁護士に連れられ、黒いスーツ姿で伏し目がちに法廷へ現れたのは、不同意わいせつ・不同意性交等・性的姿態等撮影の3つの罪に問われている元新潟県警本部・組織犯罪対策課の次長で、現在無職の梅川稔被告(56)。

梅川稔 被告(イラスト:大野拓海)
梅川稔 被告(イラスト:大野拓海)
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証言台の横のいすに座り、目線を下げ、反省したような表情を見せながら、裁判官や傍聴席を見て、落ち着かない様子を見せていた。

起訴状などによると、梅川被告は2023年10月6日午後10時20分すぎ、県警内部の飲み会後に新潟市内を走っていたタクシーの車内で、泥酔し抵抗できない20代の同僚女性に対し、同意を得ずにわいせつな行為に及んだ上、そのまま女性の自宅に行き、玄関先で淫らな行為を行い、その様子の一部を撮影した罪に問われている。

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「経緯・動機に酌量の余地なし」懲役7年を求刑

2月に開かれた論告で検察は、「立場を利用し、被害者を自分の性欲を満たすために蹂躙し、その性的尊厳を傷つけたものであり、態様は極めて悪質である」と情状関係について主張。

さらに「警察への信頼を裏切る行為ともいえ、新潟県警という組織に対しても相当の影響を与えたと考えられ、結果は重大であると言わざるを得ない。被告人は性犯罪捜査にも関与した経験があり、性犯罪の被害者が被害後にどのような状況に陥るか熟知していたはずである。そのような被告人が自己の性欲を満たすために、犯行に及んだという点で、経緯・動機にも酌量の余地は一切ない。性欲を満たす目的、及び、それを果たそうとする強固な犯意があったことは明らかであり、その意思決定についても強い非難に値する」などと訴え、梅川被告に対し、懲役7年を求刑していた。

梅川被告(2023年10月送検時)
梅川被告(2023年10月送検時)

一方、弁護側は事実関係については争わないとした上で「被告人は、できる限りの賠償を行う予定である。被告人は自己の犯行が被害者に肉体的にも精神的にも筆舌に尽くしがたい苦痛を与えたことを悔悟しており、その犯情の悪質さから実刑も覚悟している。弁護人としては、裁判所が被告人の汲むべき事情を適切に評価して、適切な量刑とするように切に希望する」と話した。

「厳しい非難に値する」懲役5年6カ月の実刑判決

そして迎えた、3月14日の判決公判。新潟地裁の小林謙介裁判長に促され、梅川被告は下を向いたまま証言台に立った。

新潟地裁 小林謙介 裁判長:
主文、被告人を懲役5年6カ月に処する

判決が読み上げられるも、梅川被告は微動だにせず、ただ一点、証言台の上を見つめていた。

新潟地裁の小林謙介裁判長は犯行について「執拗で卑劣であり、被害女性の性的自由が大きく侵害されている。また、性交等がされている間の被害者の姿態などを動画で撮影したことも見過ごせない」と指摘。そのうえで…

新潟地裁 小林謙介 裁判長:
被害者は甚大な精神的苦痛を受けて、現在も職場に復帰できずにおり、厳罰を求めるのも当然である。被告人は職務上の経験から性犯罪の被害者の実情をよく認識できたにもかかわらず、本件に及んだ点も厳しい非難に値する

刑事責任の重さに言及。

その一方で、被告人が事実を認め反省の言葉を述べていることなどを考慮して、懲役5年6カ月の実刑判決を言い渡した。

最終弁論で反省の弁「気の緩みから…」

2月の最終弁論で、反省の思いを語っていた梅川被告。

梅川稔 被告(最終弁論):
自分の気の緩みから犯行に及び、被害者に深い傷を負わせて申し訳なく思っている。被害者の家族や関係者にもご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げる。また、県警の信頼を大きく傷つけた。組織犯罪対策課で、次長職につく私が突如休職することになり、本部長や課長、課員には迷惑をかけてしまった。この度は被害者の方、大勢の人に迷惑をかけて申し訳ありませんでした

終始下を向いて判決理由を聞き、どんなことを考えていたのだろうか。公判が終わると、検察に向かって頭を下げた。

県警の信頼を大きく揺るがすこととなった、今回の卑劣な犯行。弁護側は控訴するか検討しているという。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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